カーボローディングとは【ランナーの栄養学】

カーボローディングってなんですか?

このような疑問にお答えします。

マラソンなどの長時間の運動では、おもに「グリコーゲン」と「脂肪」から発生するエネルギーを使用して走ることになります。

フルマラソンでは、42.195Kという、とてつもなく長い距離を走ることになります。
そのため、途中でエネルギー切れを起こしてしまうことも頻繁に起こります。

レースの途中で、スポーツドリンクやバナナやエナジージェルなどで補給することも大事ですが、レースの前からエネルギーを蓄えようとすることも重要になります。

そこで登場するのがカーボローディングです。

では、カーボローディングって何ですか??

ということで、今回は「カーボローディング」について説明します。

カーボローディングとは

カーボローディングでは、体内にエネルギー源となるグリコーゲンを十分に貯蔵する方法のことです。

「グリコーゲンローディング」や「カーボアップ」とも呼ばれます。

マラソンなどの長時間の運動では、おもに「グリコーゲン」と「脂肪」から発生するエネルギーを使用して走ることになります。

体内に貯蔵するグリコーゲンを多くすることが、長い時間運動するのに重要です。
とくに2時間以上を運動するようなフルマラソンやトライアスロンなどの持久力が必要なスポーツにおいて、カーボローディングはよく行われます。
また、カーボローディングをおこなうと、筋肉中のグリコーゲンがのって筋肉が美しく見えることができることから、ボディビルなどにおけるパフォーマンス向上のために行われます。

カーボローディングでは、体内にエネルギー源となるグリコーゲンを十分に貯蔵する方法のことです。

カーボローディングのメリット

エネルギー切れ予防

カーボローディングのメリットとして、「エネルギー切れ予防」があります。

フルマラソンやトライアスロンなどの持久系スポーツにおいてパフォーマンスを向上させるために食事や栄養面でのアプローチに関しての議論が行われてきました。

長時間の運動では、おもに体内の「グリコーゲン」と「脂肪」から発生するエネルギーを使用して走ることになります。
そのため、持久系スポーツにおいて、「グリコーゲン」と「脂質」がとくに重要と考えられています。

カーボローディングをおこなうことによって、体内に貯蔵するグリコーゲン量が多くなります。
すると、エネルギー源である「グリコーゲン」の貯金が多くなるため、長い時間エネルギーを持続させることができます。
とくに2時間以上を運動するようなフルマラソンやトライアスロンなどの持久力が必要なスポーツにおいて、カーボローディングの効果が発揮します。

筋肉を美しく見せる

カーボローディングのメリットとして、「筋肉を美しく見せる」ことがあります。

カーボローディングを行うことによって、筋肉や肝臓など体内に貯蔵されるグリコーゲンの量は増加します。
筋肉にグリコーゲンがたくさん貯蔵されると、筋肉が大きくなったように見えて、血管もしっかりと浮かび上がり、筋肉が美しく見せることができます。

これは、実際に筋肉が肥大しているわけではないですが、筋肉が程よく盛られた状態になり、筋肉を美しく見せることができます。

カーボローディングをおこなうと、筋肉を美しく見せることができることから、ボディビルなどにおけるパフォーマンス向上のために行われたりします。

レースへの準備を行った感覚を得られる

カーボローディングの効果として、レースへの準備を行った感覚が得られる効果があります。

レースが差し迫ってくると、レースに対して何か出来ることがないかと色々と考えてしまいがちです。
そんなときにグリコーゲンローディングを行っておくと、レースに向けた準備を行っている感覚を得られることが出来ますし、しっかりと準備をした感じが得られて、レースに向けて自信が湧いてくるでしょう。

カーボローディングのデメリット

体重が重たくなる

カーボローディングのデメリットとして「体重が重たくなる」ことがあります。

カーボローディングでは、レース前に炭水化物を多めに摂取することになります。
体内に貯蔵されるグリコーゲンは増加しますが、それとともに体重が重たくなってします。

体が重たい状態で走ると、いつもよりスピードが出なかったりして、フォームの感覚が狂ってきます。
さらに、足を接地するときに受けるダメージが大きくなるため、予想以上に体に対する負荷が大きくなってしまいます。
いわゆる「走りが重たい状態」となってしまいます。

大福餅症候群

カーボローディングのデメリットとして「大福餅症候群」があります。

カーボローディングにおいて、マラソン大会の2-3日前から、ごはん・パン・麺類などの炭水化物をいつもより多めに摂取します。
そして、試合当日に「大福」を食べ過ぎてしまってレースでうまくパフォーマンスを発揮できなかったというエピソードがあります。

これは、どういうことかというと…

糖分が多く入っている「大福」を摂りすぎてしまうと、血糖値の急上昇がおこるため、それをおさえようとインスリンが大量に分泌されます。
すると、インスリンの作用によって血糖値が下がっていき、走るころには低血糖状態となってしまいエネルギーが不足してしまうのです。
さらに、インスリンの作用で「低カリウム血症」となってしまい、筋肉本来のパワーを発揮できなくなります。

できないと焦ってしまう

カーボローディングのデメリットとして「できないと焦ってしまう」ことがあります。

マラソンランナーは繊細な人が多いです。

マラソンのレースとなると、パフォーマンスを最大限に発揮するために、数か月単位から年単位での長い期間の準備が必要となります。
そのため、フルマラソンなどの大会が差し迫ってくると、不安感からレースに対して何か出来ることがないかと色々と考えてしまいがちで、精神的に追い込まれてしまうことも多いです。

計画的にトレーニングをこなしてきて、いざ一週間前。
カーボローディングをおこなって、エネルギーをチャージしようと思っていたら…。

「レースの1週間前から4日前は」炭水化物を制限するフェーズなのに、誘惑にかられて、甘いものをついつい食べ過ぎてしまった!
「レースの3日前からは」炭水化物を多めに摂取するフェーズなのに、緊張から食欲がなくて思いのほか食べられなかった!?

など計画通りにいかない場面も多々あります。

計画通りにいかなかったら、大事な大会前にメンタル的に落ち込んでしまい、うまくパフォーマンスを発揮できない状態になることもあります。

カーボローディングの方法

炭水化物を制限する

カーボローディングのやり方として、レース1週間前から4日前までは「炭水化物を制限する」フェーズになります。

カーボローディングは、グリコーゲンを枯渇させるフェーズと、グリコーゲンをためるフェーズに分かれます。
体内のグリコーゲンを枯渇させた状態にもっていってから、グリコーゲンを補給すると体内のグリコーゲン貯蔵量は増加するとされているためです。

具体的にいうと、レース1週間前から4日前までは、炭水化物の摂取を制限して相対的に少なめ(50%程度が目安)に摂取します。
ただし「50%程度」というのは、あくまで目安であり、自分にあった方法を試してみるといいでしょう。

なお、この枯渇させるフェーズで、あまりにも極端に炭水化物を制限してしまうと、低血糖状態から体調を崩してしまうおそれがあるため注意が必要です。
また、あまりにも厳しく制限するあまり、反動で炭水化物をつい摂りすぎてしまう…なんてこともあります。
「いつもより炭水化物を少なめにしようかな」くらい、ゆるくやることがオススメです。

カーボローディングのやり方として、レース1週間前から4日前までは「炭水化物を制限する」フェーズになるのです。

炭水化物を多めに摂取する

カーボローディングのやり方として、レース3日前からレース前日までは「炭水化物を多めに摂取する」フェーズになります。

ここからは、炭水化物が枯渇した肉体に、炭水化物を注入するフェーズになります。

具体的にいうと、レース3日前からレース前日までは、炭水化物を多めに(70%-80%程度が目安)摂取にします。
このときに、タンパク質や脂質などの他の栄養素を相対的に少なめにとるようにします。
ただし「70-80%程度」というのは、あくまで目安であり、自分にあった方法を試してみるといいでしょう。

なお、この炭水化物を蓄えるフェーズでは、あまりにも極端に炭水化物を摂取してしまうと、食べ過ぎで具合悪くなって体調を崩してしまうおそれがあるため注意が必要です。
必死に食べ過ぎて、消化不良をおこしたり、吐いてしまう方もいるくらいです。
また、体重が増えすぎてしまって、走りが重たくなってしまい、かえって競技パフォーマンスを落としてしまうこともあります。

このときにも「いつもより炭水化物を多めにとろうかな」くらい、ゆるくやることがオススメです。

カーボローディングのやり方として、レース3日前からレース前日までは「炭水化物を多めに摂取する」フェーズになるのです。

レース当日に炭水化物を摂取する

カーボローディングのやり方として、レース当日に「炭水化物をほどほどに摂取する」フェーズになります。

これまでのやり方をおこなったら、レース前日までに体内にグリコーゲンはしっかりと貯蔵されているでしょう。
あとは、レースに向けて良い状態にもっていくだけです。

レース当日の食事は、いろいろな考えがあるでしょうが、
空腹にならないように食事を摂ること、そして食べ過ぎないようにすることが重要だと考えます。

「レース当日」は、レース中に消化不良を起こさないように、消化しやすいもの選びましょう。そして、最低でもレースが開始する3時間前にはメインの食事を終えましょう。
また、レース1時間前くらいには、バナナ・エナジージェルなど素早く消化できるものを摂取しましょう。

ただし、レース直前で食べ過ぎてしまうと、体が重くなり、消化がされず具合悪い状態となってしまうこともあるため注意が必要です。

また「大福餅症候群」にも注意しましょう。

これは何かというと、糖分が多く入っている「大福」を摂りすぎてしまうと、血糖値の急上昇がおこるため、それをおさえようとインスリンが大量に分泌されます。
すると、インスリンの作用によって血糖値が下がっていき、走るころには低血糖状態となってしまいエネルギーが不足してしまうのです。
さらに、インスリンの作用で「低カリウム血症」となってしまい、筋肉本来のパワーを発揮できなくなります。

「大福餅症候群」と呼ばれており、マラソン大会の前に炭水化物を食べ過ぎてしまうと、うまく走れない状態となってしまうのです。

カーボローディングのやり方として、レース当日に「炭水化物をほどほどに摂取する」フェーズになります。

カーボローディングのコツ

ゆるくおこなう

カーボローディングのコツとして「ゆるくおこなう」ことがあります。

カーボローディングでは、「レース1週間前から4日前まで」は炭水化物を相対的に少なめ(50%程度が目安)に摂取し、「レース3日前からレース前日まで」炭水化物を相対的に多め(70%-80%程度が目安)に摂取します。

カーボローディングは、グリコーゲンを枯渇させるフェーズと、グリコーゲンをためるフェーズに分かれます。
体内のグリコーゲンを枯渇させた状態にもっていってから、グリコーゲンを補給すると体内のグリコーゲン貯蔵量は増加するとされているためです。

枯渇させるフェーズで、あまりにも極端に炭水化物を制限してしまったり
ためるフェーズで、あまりにも炭水化物を摂りすぎてしまうと…

体重が極端に増えてしまい、走り自体に悪影響をおよぼしてしまうおそれがあります。

また、炭水化物を少しでも多く摂取しようと、レース直前に炭水化物を摂りすぎてしまうと、血糖値の急上昇がおこるため、それをおさえようとインスリンが大量に分泌されます。
すると、インスリンの作用によって血糖値が下がっていき、走るころに低血糖状態となってしまいエネルギーが不足してしまうのです。
さらに、インスリンの作用で「低カリウム血症」となってしまい、筋肉本来のパワーを発揮できなくなります。

ランナーは、なんでもストイックにやろうと真面目な性格な人が多いです。
あまりにもストイックにカーボローディングをおこなうと、かえってパフォーマンスを落とすことになるので注意が必要です。

カーボローディングのコツとして「ゆるくおこなう」ことがあるのです。

日常とかけ離れない

カーボローディングのコツとして「日常とかけ離れない」ことがあります。

マラソン大会では、独特の緊張感があり、ただでさえストレスがかかります。
その上、カーボローディングをするときに食べ過ぎてしまうと、いつもと違う状態となってしまうため、想像以上にストレスがかかります。

「いつもと違う状態であること」によって、

レースを走り切れるのだろうか?
いつものペースでいいのか?
エネルギーがチャージされて意外といけるでは?

など色々と考えが湧いてきます。
蓋を開けないとどうなるかわからない状態は、たとえ良い方に転ぼうが、とても大きなストレスになります。

マラソン大会という非日常に加えて、カーボローディングという日常とかけ離れたことをおこなうと、心身ともにかなりのストレスとなります。

カーボローディングを行う場合には、あらかじめトレーニングを行う段階で、試しに行ってみることをオススメします。
そして、自分のパフォーマンスにどのくらい影響を与えるのか感触を確かめて、レース本番に活かしていくのがいいでしょう。

いずれにせよ、カーボローディングを行う場合も含めて、レースを迎えるに当たって、あまりにも日常とかけ離れたことは行わないようにしましょう。

カーボローディングのコツとして「日常とかけ離れない」ことがあります。

出来なくても気にしない

カーボローディングのコツとして「出来なくても気にしない」ことがあります。

マラソンランナーは繊細な人が多いです。

マラソンのレースとなると、パフォーマンスを最大限に発揮するために、数か月単位から年単位での長い期間の準備が必要となります。
そのため、フルマラソンなどの大会が差し迫ってくると、不安感からレースに対して何か出来ることがないかと色々と考えてしまいがちで、精神的に追い込まれてしまうことも多いです。

計画的にトレーニングをこなしてきて、いざ一週間前。
カーボローディングをおこなって、エネルギーをチャージしようと思っていたら…。

「レースの1週間前から4日前は」炭水化物を制限するフェーズなのに、誘惑にかられて、甘いものをついつい食べ過ぎてしまった!
「レースの3日前からは」炭水化物を多めに摂取するフェーズなのに、緊張から食欲がなくて思いのほか食べられなかった!?

など計画通りにいかない場面も多々あります。

計画通りにいかなかったら、大事な大会前にメンタル的に落ち込んでしまい、うまくパフォーマンスを発揮できない状態になることもあります。

カーボローディングはあくまで「おまけ」であり、常日頃のトレーニングの成果が「メイン」です。
おまけのカーボローディングがうまく出来なかったからといって悲観的になる必要はありません。
レースのために準備してきた毎日のトレーニングに自信をもって、本番にのぞみましょう。

反対にいうと、毎日のトレーニングの方が圧倒的に重要になるので、自分の目標に沿ったトレーニング計画を立てるとともに、トレーニングの一つ一つを大事にして取り組むようにしましょう。
おのずと、自信をもってレース本番を迎えることができますよ。

ランナーは本当に繊細な人が多いです。
カーボローディングだけでなく、レース前のルーチンが少しでも出来ないようであれば、かなりへこんでしまう人が多いです。

カーボローディングのコツとして「出来なくても気にしない」ことがあります。

まとめ

今回は「カーボローディング」について説明しました。

フルマラソンでは長い時間の戦いになります。
レースを戦い抜くためにもエネルギーをしっかりとマネジメントする必要があります。

カーボローディングには様々なやり方があります。
そして、とてもストイックなやり方から、ゆるいやり方まで実に様々あります。

また、カーボローディングによって、かえってフルマラソンのタイムが遅くなってしまったとか、体調を崩してしまうランナーもいます。

実際に、カーボローディングを様々な方法で行ってみて、自分に合った方法を探してみましょう。

この記事によって「カーボローディング」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

この記事の著者

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