・もっと速く走りたいです!
・アスリートは食事が大事と聞きますが、どうすればいいの?
・脂質も大事だと聞きましたが、どのように摂ればいいですか?
この記事を読むことによって、食事を武器にして、マラソンのタイムを伸ばすヒントが見つかります。
私はドクターランナーの立場として、トレーニング内容だけでなく食事・栄養バランスなどを記録して研究してきました。
自分自身を実験台にした結果、食事の内容が「走りの調子」と強く関係することを改めて実感しました。
とくに、三大栄養素の一つである「脂質」を意識すると、走りの感覚に違いが表れます。

エネルギー源だけでなく体をつくる材料となる「脂質」
脂質を適切に摂取することで速く走ることにつながります。
脂質を味方につけると、きっと自己ベスト更新につながるでしょう。

では、どのように脂質を摂取すればいいですか?
ということで、今回は「脂質を摂取するポイント」について説明していきます。
脂質の摂取量

脂質の必要量は「25%から30%」が目安
アスリートにおいて、脂質の必要な量は「1日の必要エネルギーの25%から30%」とされています。
例えば、必要エネルギーが「3000kcal」の人の場合では「750kcalから900kcal」、つまり「83gから100g程度」の脂質を摂取することが目安になります。
これは、あくまで脂質の摂取量の目安であり、競技内容やトレーニング内容、トレーニング時期、それぞれの身長・体重などの体格によって、脂質を摂取すべき量は異なります。
なお、体脂肪を落として減量したい場合には、脂質の摂取量を落としていくことになります。
しかし、脂質の摂取量を落とし過ぎるとコンディションを低下する恐れがあるため、脂質不足に注意して調整するようにします。
脂質の必要量は意外と多いかも…
自分自身は脂質代謝が盛んなマラソンランナーであり、1日最低「110g程度」の脂質が必要なことが実験で判明しました。
この値を下回ると、コンディションが低下して、走りの調子が悪いですし、慢性的な貧血などに悩まされていました。
一般の感覚からすると、かなり多い脂質の量です。このように脂質の必要量には個人差があることを頭に入れておきましょう。
ファットアダプトでは脂質の摂取量は「70%から80%程度」が目安
マラソンなどの持久系競技で、脂質代謝を促すために「ファットアダプト」という脂質を多めに摂取する食事法があります。
「ファットアダプト」の場合では、脂質の摂取量は「1日の必要エネルギーの70%から80%程度」が目安になります。
脂質が不足すると体調不良につながる
脂質はエネルギー源となるため、不足すると「エネルギー不足」や「冷え」につながります。
また、脂溶性ビタミンの消化吸収のために脂質が必要ですが、脂質が不足すると脂溶性ビタミン不足につながります。
さらに、脂質は体内の細胞膜の材料になります。脂質が不足すると、体の材料や体の機能を調整する物質などが足りず、体調不良につながる可能性があります。
脂質を摂り過ぎる体重増加に
脂質を摂り過ぎると、体脂肪として体内にたまり体重増加につながります。
体重が増えすぎてしまうと、走りが重たくなってしまい、マラソンのタイムが遅くなってしまう可能性があります。
体重が1kg増えると、フルマラソンのタイムは約3分遅くなる
とされております。
脂質の摂り過ぎにともなう体重増加には注意が必要です。
脂質を摂取するタイミング

「朝食」や「昼食」に多めに
脂質の摂取は、「朝食」や「昼食」において多めに摂取しましょう。
脂質は、朝食や昼食において、比較的多めに摂取するといいでしょう。
朝食や昼食に脂質を摂ることで、日中の活動に脂質をエネルギー源として効率的に使うことができます。
「運動前」や「寝る前」は少なめに
脂質の摂取は、「運動前」や「寝る前」は少なめにしましょう。
脂質は、体内に消化吸収するまでに時間がかかります。
運動前に脂質を多く摂取すると、消化管への負担が重くなり、運動時に筋肉への血流が低下することにつながります。
また、寝る前に脂質を多く摂取すると、睡眠の質が低下することにつながります。
さらに、エネルギーとして消費されない脂質が、体脂肪として蓄積しやすいです。
良質な脂質を摂取するコツ
肉より魚を摂取する

良質な脂質を摂取するコツとして「肉より魚を摂取すること」があります。
とくに、サバ、イワシなどの青魚には、EPA・DHAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
なお、肉には、飽和脂肪酸が多く含まれているので摂取し過ぎに注意です。
加熱していない油を摂取する

良質な脂質を摂取するコツとして「加熱していない油を摂取すること」があります。
油を加熱すると、酸化してしまい質が低下します。
加熱していない油を摂取するといいでしょう。
えごま油やあまに油などをサラダにかけて食べることをオススメします。
生の食材を選ぶ

良質な脂質を摂取するコツとして「生の食材を選ぶこと」があります。
とくに、ナッツ類やアボカドには不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
脂質を含む食品
脂質を含む食品として「肉類」「魚類」「ナッツ類」「乳製品」「油脂類」などがあります。
肉類

牛もも…約18g(100g当たり)
豚ロース…約19g(100g当たり)
とりもも(皮あり)…約14g(100g当たり)
※部位や脂身・皮の有無などで大きく異なる
魚類

さば…約17g(100g当たり)
ぶり…約18g(100g当たり)
いわし…約9.2g(100g当たり)
ナッツ類

くるみ…約68.8g(100g当たり)
アーモンド…約51.8g(100g当たり)
カシューナッツ…約46.0g(100g当たり)
乳製品

牛乳…約3.8g(100g当たり)
ヨーグルト…約3.0g(100g当たり)
チーズ…約25g(100g当たり)
油脂類

えごま油…約100g(100g当たり)
あまに油…約100g(100g当たり)
オリーブオイル…約100g(100g当たり)
この記事のまとめ
今回は「脂質を摂取するポイント」について説明しました。
この記事によって「脂質を摂取するポイント」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者
