・なかなか寝付けない…
・途中で起きてしまう。
・ぐっすり寝た感じがしない。。
このような睡眠の問題で悩んでいるランナーは少なくないです。
この記事を読むことによって、天然のドーピングである睡眠を味方につけて、マラソンのタイムを伸ばすヒントが見つかります。
私はドクターランナーの立場として、トレーニング内容だけでなく睡眠、食事・栄養バランスなどを記録して研究してきました。
自分自身を実験台にした結果、睡眠の具合が「走りの調子」と強く関係することを改めて実感しました。

睡眠の質を高めることによって、リカバリー力が高まり、より速く走ることにつながります。
睡眠は「天然のドーピング」といえるくらいアスリートにとって重要です!
アスリートの方は、睡眠の質を上げることによって、リカバリー力が高まります。
リカバリー力が高まると、より質の高いトレーニングに耐えることができます。
では、どのような食事をすると「睡眠の質」は高まるのか、説明していきます。
睡眠の質を上げる食事のポイント
タンパク質を摂取する

睡眠の質を上げる食事のポイントとして「タンパク質を摂取する」ことがあります。
タンパク質が分解されてアミノ酸が産生されます。
とくに「トリプトファン」というアミノ酸が原料となって睡眠ホルモンである「メラトニン」は産生されます。
「トリプトファン」は必須アミノ酸の一つであり、体内で作ることができず、食事から摂取することが必要なアミノ酸です。
トリプトファンを含む食品として、牛乳・七面鳥・とりにく・魚類・たまご・チーズ・かぼちゃの種・豆類などがあります。
また、「グリシン」というアミノ酸は、睡眠の質を上げる効果があるといわれています。
「グリシン」は非必須アミノ酸の一つであり体内で作ることができます。甘味成分をもっており、食品添加物にも使用されております。
グリシンを含む食品として、えび・ほたてなどの魚介類などがあります。
食事は朝昼をメインにする

睡眠の質を上げる食事のポイントとして「食事は朝昼をメインにする」ことがあります。
スポーツを行っている人は、可能であれば朝昼をメインにして、夕食は比較的軽めに済ませるようにしましょう。
夜に食事を摂りすぎてしまうと、消化にエネルギーをとられてしまい、睡眠が妨げられてしまいます。
満腹感から、翌日に食欲が湧かず、朝食が食べられないという悪循環に陥ってしまいます。
さらに、夕食で摂取されたエネルギーは、その後に運動をしないのであれば、そのまま体内に蓄積されてしまいます。
寝る前の食事はできるだけ避けましょう。とくに、寝る3時間前までに夕食は済ませておくといいでしょう。朝・昼をメインにすることによって、日中の活動のエネルギーとなります。
仕事終わりに仲間と一緒に夕食を楽しむなどの場合は難しいかもしれません。
しかし、夕食は消化に良い軽めのものを選んだりする等の工夫で対応できるかと思います。
寝る直前に食事をしない

睡眠の質を上げる食事のポイントとして「寝る直前に食事をしない」ことがあります。
寝る前に食事をとってしまうと、消化活動にエネルギーが消費されてしまいます。
すると、脳が働いた状態が続いてしまうため、眠りの質が低下してしまいます。
さらに、夜に消化吸収されたエネルギーは使用されずに脂肪として蓄積されてしまったり、十分に消化できなった食べ物が残って胃がもたれたりしてしまいます。
睡眠の質を上げるために、寝る「2~3時間前」までには食事を済ませるようにしましょう。
そして、食事の内容も肉や揚げ物など消化に時間がかかるものは避けて、魚・豆・たまごなどの良質なタンパク質を摂取するようにしましょう。
寝る前のカフェインを控える

睡眠の質を上げる食事のポイントとして「寝る前のカフェインを控える」ことがあります。
カフェインには覚醒作用があるため、寝る前に摂取してしまうと、眠れなくなってしまいます。
カフェインを摂取すると「30分から1時間後」に血中濃度はピークになります。
半減期は「3~5時間程度」なので、睡眠の質を下げないように遅くとも「寝る5時間前」からはカフェインを摂らないようにしましょう。
コーヒーだけでなく、紅茶・緑茶、コーラ、エナジードリンクなどにも含まれているため注意が必要です。
ちなみに、カフェインを摂取してから昼寝をすると、寝て「30分~1時間くらい」でカフェインの覚醒効果が効いてくるため、スッキリとした目覚めで起きることができます。
昼寝をした後にスッキリ起きたい場合はカフェインを利用するといいでしょう。
寝る前のアルコールを控える

睡眠の質を上げる食事のポイントとして「寝る前のアルコールを控える」ことがあります。
アルコールを摂取すると、早く寝付くことができるため「寝酒」を習慣にする人がいるかと思います。
たしかに、アルコールによる麻酔効果で寝つきはいいかと思います。
しかし、アルコールを摂取した後は、眠りが浅くなってしまい、睡眠の質は低下してしまい、十分にリカバリーさせるのが難しくなります。
さらに、大量に飲みすぎてしまうと、夜間の排尿回数が増えてしまうため、眠りが阻害されてしまいます。
睡眠の質を上げるためにも、寝酒は絶対に行わないようにしましょう。
また、晩酌もアルコールを摂取し過ぎないように適量を心がけましょう。
睡眠の質を上げるサプリメント
トリプトファン

睡眠の質を上げるサプリメントとして「トリプトファン」があります。
トリプトファンとは、必須アミノ酸の一種であり、ヒトの体の健康維持に欠かせない栄養素です。
トリプトファンはアミノ酸の一種であり、さまざまなホルモンを合成する材料となります。
とくに、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の材料となるため、メンタルの安定・幸福感につながり、不快感や興奮状態を抑える働きをします。
「セロトニン」は夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化し、スムーズに入眠することや睡眠の質の向上につながります。
つまり「トリプトファン」は、セロトニンやメラトニンの材料になるため、睡眠の質を上げてくれるのです。
トリプトファンを含む食品として、肉、魚、大豆・大豆製品、卵、牛乳・乳製品、バナナなどがありますが、不足する場合にはサプリメントを利用するといいでしょう。
グリシン

睡眠の質を上げるサプリメントとして「グリシン」があります。
グリシンは、非必須アミノ酸の一種であり、ヒトの体の中でさまざまな働きをする物質です。
グリシンは、血液中の酸素を運搬するポルフィリン、筋運動に必要なクレアチン、抗酸化作用のあるグルタチオン、核酸のプリン体などの物質の材料となります。
また、末梢の血流を増加し、熱放散を促すことによって、深部体温を下げて、睡眠の質を上げる効果が期待できます。
グリシンは、ホタテやエビ、カニなどの魚介類や、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類に多く含まれています。
なお、グリシンは、還元糖と反応して褐色物質を作るため「メイラード反応」、焼菓子・醤油・焼豚等の食品の着香と着色剤として広く使用されています。
GABA

睡眠の質を上げるサプリメントとして「GABA」があります。
GABA(ギャバ)とは、γ-アミノ酪酸(ganma-amino-butyric-acid)の略であり、アミノ酸の一種です。
GABAは、脳や脊髄に多く存在し、抑制性の神経伝達物質として働きます。
ストレスや疲労感の緩和、睡眠の質の改善、血圧の低下、 筋量維持などの効果が期待できます。
GABAは、野菜や果物、発酵食品など食品にも多く含まれていますが、食事から摂取できる量は1食あたり数mg程度です。
GABAを効率的に摂取するには、サプリメントや機能性食品を活用するとよいでしょう。
テアニン

睡眠の質を上げるサプリメントとして「テアニン」があります。
テアニンは、アミノ酸の一種で、お茶の旨み成分として知られています。
テアニンには、リラックス効果や認知機能の低下を抑える効果などが期待できます。
とくに、ストレスを緩和し、心身ともにリラックスした状態にしてくれることから、睡眠の質の改善が期待できます。
テアニンの構造は、脳内の神経伝達物質の一つである「グルタミン酸」に似ているため、自律神経や気分などへの生理的作用が発揮すると考えられています。
テアニンを含む食品として、緑茶や紅茶、とくに玉露や抹茶などがあります。
クロセチン

睡眠の質を上げるサプリメントとして「クロセチン」があります。
クロセチンは、カロテノイドの一種であり、クチナシの果実やサフランなどに含まれる天然の黄色の色素です。
クロセチンには、目のピント機能を調整する働き、近視の進行を抑える働き、睡眠の質を上げる働きなどがあります。
とくに、眠りの深さを高める作用があり、途中で起きてしまう中途覚醒を減らす効果が期待でき、起床時の眠気や疲労感をやわらげてくれます。
クロセチンは、クチナシやサフランなどの果実や種に含まれる黄色の天然色素です。
クチナシの実7.5kgに対して、クロセチンはわずか10gしか抽出することができないほど貴重な成分であり、食品から摂取することは難しいと言われており、サプリメントなどを利用するといいでしょう。
ラフマ

睡眠の質を上げるサプリメントとして「ラフマ」があります。
ラフマは、キョウチクトウ科の多年草である「羅布麻(らふま)」であり、ハーブの一種となります。
ラフマには、メンタルの安定、幸福感、睡眠の質の向上などの効果が期待できます。
ラフマの葉には、「ラフマ由来ヒペロシド」と「ラフマ由来イソクエルシトリン」という2つの成分が含まれております。
脳内の神経伝達物質「セロトニン」の分解を抑え、さらに体内で増加させる働きがあることが知られています。
セロトニンは幸福ホルモンの一種であり、精神の安定や幸福感につながります。
また、セロトニンは夜になると、睡眠ホルモンである「メラトニン」に変化するため、睡眠の質が高まります。
ラフマは、サプリメント・健康食品などで手軽に摂取することができます。
まとめ
今回は「睡眠の質を上げる食事」について説明しました。
「天然のドーピングである睡眠」を味方につけて、リカバリー力を爆上げし、競技パフォーマンスの向上につなげましょう。
この記事によって「睡眠の質を上げる食事」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者
