アスリートの睡眠の質を上げるポイント|天然のドーピングを味方につけよ

睡眠の質を上げるには、どうすればいいですか?

このような疑問にお答えします。

・夜寝つきが悪い…
・途中で起きてしまう…
・朝すっきりしない…

このような睡眠の問題で悩んでいる方は、少なくないです。

睡眠は「天然のドーピング」といえるくらいアスリートにとって重要になります!

アスリートにおいて、高い競技パフォーマンスを発揮するためには、トレーニングも大事ですが、睡眠などのリカバリーも非常に重要です。

「睡眠の質」が高まることによって、リカバリー力が高まります。
リカバリー力が高まると、より質の高いトレーニングに耐えることができ、競技パフォーマンスは向上します。

では、睡眠の質を上げるには、どうすればいいですか?

ということで、今回は「睡眠の質を上げるポイント」について説明していきます。

睡眠の質を上げる生活リズム

同じ時間に就寝・起床を

睡眠の質を上げるポイントとして「同じ時間に就寝・起床をすること」があります。

毎日、違う時間に寝るようでは、うまく寝付けないことがあります。
ある日は遅く寝て、ある日は早く寝るなどしていると、脳が寝ていい時間なのか判断できずに、基本的にはスムーズに寝付くことができません。

また、起きる時間も日によってバラバラだった場合、日によっては睡眠時間が長くなったり短くなったりで、睡眠時間にバラツキが出てしまいます。
さらに、睡眠にはサイクルがあるため、寝起きが良い日もあれば、悪い日も出てきます。

不規則な生活リズムというものは、大変ストレスになりますし、睡眠にバラツキが出てしまい、安定的にうまくリカバリーをとることが困難になります。

同じ時間に寝て、同じ時間に起きるような規則正しい生活を心がけましょう。

眠くなってから寝床に入る

睡眠の質を上げるポイントとして「眠くなってから寝床に入る」ことがあります。

眠くなる前に寝床に入ると、当たり前ですがうまく寝付くことができません。
あれこれと考えを巡らせてしまい、すっかりと覚醒してしまい、寝るどころではなくなります。

早く寝床に入って、スマホいじってしまう方が多いかと思いますが、これもNGです。
寝床を「寝る」以外の目的で使用してしまうと、脳が寝る場所ではないと判断してしまい、うまく寝付くことができません。

さらに、大事な大会やイベントの前日は、いつもより早く寝床に入る方もいますが、これもまたNGです。
幼いころ、遠足の前日は早く寝るように言われて、ふとんに入るも興奮して全然眠れなかったなんて記憶もあるかもしれません。
とくに大事なイベントも前だと、新しい経験を前にあれこれと考えを巡らせて興奮してしまい、目がギラギラと冴えてしまい、寝付けなくなってしまいます。

眠くなってから寝床に入って、スムーズに眠りに移ることで、脳に寝る場所なんだと認識させることが大切です。

寝る環境を整える

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る環境を整える」ことがあります。

快眠のために、ふとんの中の温度は「33度」、湿度は「50%」が理想的だと言われています。

寝る環境、とくに室内の「温度」「湿度」などは睡眠の質を上げるために重要です。
夏、暑すぎると寝つきが悪くなりますし、冬、寒すぎても足など末梢が冷えて寝つきが悪くなるかと思います。
快眠のために、ふとんの中の温度は「33度」、湿度は「50%」が理想的だと言われています。

最適な環境になるように、部屋の空調管理を心がけたり、四季折々の季節に応じた寝具選びが重要になります。

また、「部屋の明るさ」も睡眠の質を上げるために重要です。
寝るときには、基本的には真っ暗な環境が最適です。
カーテンを開けておいて、朝に日の光が入ってきて明るくなってきて起床するのが理想的です。

さらに「部屋の香り」も寝るために大切です。
とくにラベンダーの香りはリラックス効果があり、自然と眠りにいざなう効果があります。
他にも「ベルガモット」「サンダルウッド」などのアロマを利用してもいいでしょう。

夜更かしをしない

睡眠の質を上げるポイントとして「夜更かしをしない」ことがあります。

当たり前ですが、夜更かしは絶対に厳禁です。
睡眠時間が短くなると、リカバリーが十分されず、翌日以降にも疲労が蓄積してしまいます。
さらに、生活リズムは乱れてしまい、集中力が低下し、競技パフォーマンスは大きく低下してしまいます。

頻繁に夜更かししてしまうと、睡眠不足が慢性的になり、生活習慣病・うつ病などの発生リスクが高まります。

アスリートだけでなく、一般人の方も健康のために夜更かしは絶対にしないようにしましょう。

睡眠の質を上げる日中の過ごし方

朝日光を浴びる

睡眠の質を上げるポイントとして「朝日光を浴びる」ことがあります。

朝、日光を浴びることで「セロトニン」という物質が分泌されます。
これは、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化します。
メラトニンによって、夜自然に入眠することができるのです。

また、隔離された環境下では、ヒトの体内時計のリズムは実は「1日約25時間」であり、「1日約24時間」になるようにズレを修正する必要があります。
朝起きたら、日光を浴びることによって、体内時計を「1日約24時間」に調整することができます。

日中にトレーニングを行う

睡眠の質を上げるポイントとして「日中にトレーニングを行う」ことがあります。

トレーニングを行っている人の生活リズムによるかもしれませんが、可能であれば日中の明るい時間帯にトレーニングを行うようにしましょう。

夜に激しい運動を行ってしまうと、交感神経が優位となってしまいます。
神経が興奮してしまい、夜に眠りにつけなくなる場合があります。
そして、交感神経が優位のまま眠りについても睡眠の質は下がってしまいます。

基本的には、人の体は、日中明るい時間帯に活動的になり、夜暗い時間帯はお休みモードになるように出来ています。

仕事をしながら、スポーツを楽しんでいる人は、仕事終わりにトレーニングを行う方が多いかもしれません。
しかし、朝早めに起きてトレーニングを行ったり、仕事が早めに終わる日や休みの日に出来るだけ激しいトレーニングを行うように工夫しましょう。

食事は朝昼をメインにする

睡眠の質を上げるポイントとして「食事は朝昼をメインにする」ことがあります。

スポーツを行っている人は、可能であれば朝昼をメインにして、夕食は比較的軽めに済ませるようにしましょう。

夜に食事を摂りすぎてしまうと、消化にエネルギーをとられてしまい、睡眠が妨げられてしまいます。
満腹感から、翌日に食欲が湧かず、朝食が食べられないという悪循環に陥ってしまいます。
さらに、夕食で摂取されたエネルギーは、その後に運動をしないのであれば、そのまま体内に蓄積されてしまいます。

寝る前の食事はできるだけ避けましょう。
とくに、寝る3時間前までに夕食は済ませておくといいでしょう。
朝・昼をメインにすることによって、日中の活動のエネルギーとなります。

仕事終わりに仲間と一緒に夕食を楽しむなどの場合は難しいかもしれません。
しかし、夕食は消化に良い軽めのものを選んだりする等の工夫で対応できるかと思います。

睡眠の質を上げる寝る前の過ごし方

寝る前に食事をしない

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る前に食事をしない」ことがあります。

寝る前に食事をとってしまうと、消化活動にエネルギーが消費されてしまいます。
すると、脳が働いた状態が続いてしまうため、眠りの質が低下してしまいます。

さらに、夜に消化吸収されたエネルギーは使用されずに脂肪として蓄積されてしまったり、十分に消化できなった食べ物が残って胃がもたれたりしてしまいます。

睡眠の質を上げるために、寝る「2~3時間前」までには食事を済ませるようにしましょう。
そして、食事の内容も肉や揚げ物など消化に時間がかかるものは避けて、魚・豆・たまごなどの良質なタンパク質を摂取するようにしましょう。

寝る前に激しい運動をしない

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る前に激しい運動をしない」ことがあります。

夜に激しい運動を行ってしまうと、交感神経が優位となってしまいます。
神経が興奮してしまい、夜に眠りにつけなくなる場合があります。
そして、交感神経が優位のまま眠りについても睡眠の質は下がってしまいます。

繰り返しですが、仕事が早めに終わる日、休みの日の日中に出来るだけ激しいトレーニングを行うように工夫しましょう。

寝る前のスマホを控える

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る前のスマホを控える」ことがあります。

スマホの画面から発せられるブルーライトを浴びると、夜にも関わらず脳が昼間だと錯覚してしまいます。睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌は低下し、睡眠の質が下がります。

なお、スマホだけでなく、パソコン・タブレット・TV画面からの光にも注意が必要です。

夜だらだらとスマホをいじらず、可能であれば「寝る1時間~2時間前」にはスマホを控えるようにしましょう。
また、朝の目覚ましにスマホのアラームに設定している人は、目覚まし時計を利用して、スマホから遠ざける工夫をしましょう。

なお、夜どうしてもスマホを操作する場合には、ブルーライトをオフ設定にしましょう。

寝る前に入浴をする

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る前に入浴をする」ことがあります。

自然な眠りにいざなうには「体温の低下」というのがポイントになります。
よく赤ちゃんは眠くなると手足が温かくなります。
これは、入眠に向けて、熱を放散させて体温を下げているために起こっています。

では、体温を低下させるためにどうすればいいでしょう?
そこで登場するのが「入浴」です。

入浴をすると、一時的に体温が上がります。
しかし、末梢血管が拡張して、熱が放散しやすい状態となるため、入浴後に体温は下がっていきます。

お湯の温度は「39度~40度くらい」のぬるま湯程度で、じっくりと深部まで体を温めましょう。
入浴時間は「10分~15分」程度を目安にしましょう。

「寝る1~2時間前」に入浴をすると、ちょうど体の深部体温が下がるタイミングで、自然な睡眠につながります。

寝る前のストレッチ

睡眠の質を上げるポイントとして「寝る前のストレッチ」があります。

ストレッチ運動によって、体をリラックスさせて、副交感神経が優位になり、自然な睡眠につながります。

筋肉を伸ばすストレッチ運動を行う事で、筋肉に程よい刺激が入り、筋肉の伸びる気持ちの良い感じが得られます。
日常生活で座りっぱなしなどで同じ姿勢が続いたり、同じような動作が繰り返されたりすることで筋肉や腱は硬くなります。
ストレッチによって、硬くなった筋肉がほぐれて心地良い感覚となるでしょう。ストレッチをすると単純に気持ちいいです。

トレーニングによって酷使された肉体の疲労回復を促し、睡眠のよるリカバリー効果をさらに高めてくれるでしょう。

睡眠の質を上げる医学的注意点

薬剤に気をつける

睡眠の質を上げるポイントとして「薬剤に気をつける」ことがあります。

薬剤の種類によって、睡眠障害につながるため注意が必要です。
とくに「ステロイド薬」「カフェインを含む薬」「降圧薬」(高血圧のくすり)「甲状腺ホルモン製剤」「抗がん剤」などは、不眠につながります。

「ステロイド薬」は、基本的には体を元気にする作用があり、脳が覚醒状態となります。
使用する場合には、夕方から夜の時間帯は避けて、朝から日中に服用するようにしましょう。

添加物などで「カフェイン」を含む薬剤を内服すると、カフェインの利尿作用・覚醒作用のため、中途覚醒などの不眠症につながります。

また、高血圧のくすりである「降圧薬」、「甲状腺ホルモン製剤」「抗がん剤」などは、不眠につながるので注意しましょう。

睡眠障害を来たす病気に注意

睡眠の質を上げるポイントとして「睡眠を阻害する病気に注意する」ことがあります。

睡眠を阻害する病気として「睡眠時無呼吸症候群」「夜間頻尿」「頭痛」「うつ病」などがあります。

「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気のことです。
睡眠中に、平均1時間に5回以上、無呼吸(10秒以上呼吸が止まる状態)が見られる状態をいいます。

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸苦を感じるため、夜に起きてしまいます。
低酸素状態から、睡眠の質は下がり、熟睡感が得られず、起きた後も疲労感が残りやすいです。さらに、酸素が欠乏する状態によって、心臓や血管への負担がかかり、脳卒中・狭心症・心筋梗塞などの重篤な合併症のリスクが高まります。

また、寝ている間に「頻尿」「頭痛」などの症状があると夜に起きてしまい安眠を妨げられます。
とくに、排尿のために、頻繁に起きてしまう症状を「夜間頻尿」とよばれます。
夜間頻尿の原因として、水分の摂りすぎ、加齢、カフェイン・アルコール、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、過活動膀胱などがあり注意が必要です。

また、頭痛によって夜に起きてしまうものを「睡眠時頭痛」とよばれます。
一次性頭痛のタイプとして「片頭痛」「緊張性頭痛」「群発性頭痛」などがありますが、まれに「睡眠時頭痛」というものがあります。
睡眠時頭痛では、夜眠っているときに、一定時間に頭痛が起こり、起きてしまうことから「目覚まし頭痛」とも言われています。

「うつ病」の症状として、睡眠の途中で起きてしまう中途覚醒が起こる場合があります。
うつ病は、気分障害の一種であり、気分の落ち込み、何をしても楽しめない、食欲がない、
疲れやすい、眠れないなどの症状があります。

うつ病と中途覚醒には関係があり、中途覚醒などの睡眠障害から「うつ病」を発症したり、反対に「うつ病」によって中途覚醒などの睡眠障害が起こる場合もあります。

睡眠障害の治療

睡眠の質を上げるポイントとして「睡眠障害の治療」があります。

睡眠障害には「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」などがあります。

入眠困難は、ふとんに入ってもなかなか眠りにつけない状態です。おおよそ「30分~1時間」経っても寝付けない状態をいいます。

中途覚醒は、いったん眠りについても、翌朝に起床するまでの間に、夜中に何度も目が覚めてしまう状態です。

早朝覚醒は、希望する時刻より早めに起きてしまい、その後眠れない状態です。
希望時刻の「おおよそ2時間以上前」に目が覚めてしまう状態をいいます。

熟眠障害は、眠りが浅く睡眠の質が悪いため、睡眠時間のわりに熟眠した感じが得られない状態をいいます。

睡眠のために生活習慣を改善しても、睡眠障害がみられる場合には、医療機関を受診して相談するようにしましょう。

まとめ

今回は「睡眠の質を上げるポイント」について説明しました。

アスリートだけでなく「良質な睡眠」は、心身の健康にとても重要です。
睡眠の質が良いと、日中いきいきと過ごすことができます。

「天然のドーピングである睡眠」を味方につけて、リカバリー力を爆上げし、競技パフォーマンスの向上につなげましょう。

この記事によって「睡眠の質を上げるポイント」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立てれば幸いです。

この記事の著者

タイトルとURLをコピーしました