・速く走るための練習メニューが知りたいです。
・マラソントレーニングにはどのようなものがありますか?
・具体的にどのような練習をすればいいですか?
この記事を読むことによって、速く走るためのトレーニングメニューが分かり、マラソンのタイムを伸ばすことができます。
私はドクターランナーの立場として、マラソンのトレーニングメニューに関して、スポーツ科学とメディカル科学の両面から研究しています。
速く走るためには、トレーニングの目的を理解した上で行うことで、より効率的に速く走ることができます。
反対に、トレーニングを理解せずに練習をおこなっても、せっかくのトレーニング効果を無駄にしてしまう可能性があります。

トレーニングの目的を理解した上で、日々の練習をおこなうことが大切です。
マラソントレーニングの中に「LSD」というものがあります。
ゆっくり長くジョグをする「LSD」には派手さはないですが、地味にキツイです。
ゆっくりペースなので楽かと思いきやそうではありません。
適切にLSDのトレーニングが出来ると、後半は、きつくなって、歩きたい気持ちになります。
ペースを上げて追い込むのとは違ったトレーニング効果が得られます。
では、LSDはどのようなトレーニングでしょうか?
ということで、今回は「LSD」について説明します。
LSDとは

LSDは、長い時間、ゆっくりとジョギングするトレーニングです。
LSDは「Long Slow Distance」の略であり、直訳すると「長く・ゆっくりと・距離を踏む」となります。
LSDでは、20km~30km以上の距離、2~3時間以上の時間をゆっくりペースで走ります。
LSDは、決してキツイペースでは行わず、会話ができるくらいの余裕をもった、ゆっくりペースで走り続けます。
LSDの効果
毛細血管の発達

LSDの効果として「毛細血管の発達」があります。
LSDでは、ゆっくりペースのため、心拍数は上がりませんが、動き続けなければいけません。
筋肉に酸素や栄養素などを効率的に送り続けるために、LSDによって毛細血管が発達します。
脂質代謝の促進

LSDの効果として「脂質代謝の促進」があります。
マラソン競技において「糖質」や「脂質」がメインのエネルギー源です。
強度が低い、長い時間の運動において、「脂質」が主に使われます。
LSDによって、強度が低く、長い時間の運動を行うことで、「脂質代謝」が促されます。
長い時間の運動に慣れる

LSDの効果として「長い時間の運動に慣れること」があります。
フルマラソンは「42.195km」というとても長い距離を走ることになります。
LSDによって、長い距離や長い時間の運動に慣れておくと、距離に対する不安感は軽減されて、余裕をもって本番にのぞむことができます。
あし作り

LSDの効果として「あし作り」があります。
LSDでは、ゆっくりと長く走るので、究極的な「低負荷・高回数のトレーニング」になります。走る動作に関係する筋肉の「筋持久力」が鍛えられ、レース後半も動かし続ける「あし作り」にもつながります。
LSDの方法
LSDのやり方

LSDのやり方は、20km~30km以上の距離、2~3時間以上の時間をゆっくりペースで走ります。
LSDは、決してキツイペースでは行わず、会話ができるくらいの余裕をもったペースでおこないます。
途中でペースを上げたい気持ちをグッと我慢して、ゆっくりペースを維持します。
はじめは、長い時間の運動はキツイかと思いますので、徐々に距離や時間を伸ばすようなイメージで取り組むと良いでしょう。
LSDのペース

LSDのペースは、決してキツイペースでは行わず、会話ができる余裕をもったペースでおこないます。
ペースは人によって異なりますが
「1キロあたり6分~8分くらい」が目安です。
歩くまでいかないギリギリジョギングをするくらいのペースが理想的です。
個人的には「1キロあたり6分半から7分半くらい」のペースで行っています。
LSDではペースアップをしない

LSDでは、絶対にペースアップしないようにしましょう。
途中でペースアップしてしまうと、心拍数が上がり、筋肉などに酸素が行き渡るため、楽になってしまい、LSDのトレーニング効果が落ちてしまいます。
途中でペースを上げたい気持ちをグッと我慢して、ゆっくりペースを維持します。
心拍数が上がらないため、体が重く感じ、動き続けるのは地味にキツイと感じるでしょう。
それが、まさにLSDにおける真の狙いであります。
LSDのコツ
フォームを崩さない

LSDのコツとして「フォームを崩さない」ことがあります。
ゆっくり走ろうとすると…
・視線が落ちる
・背中が丸くなる
・ちょこちょこ走りになってしまう
など、自然とフォームが崩れがちで、走りが小さくなってしまいがちです。
フォームが崩れてしまうと、変なクセがついてしまいますし、体の一部に負担がかかりケガにつながります。
ゆっくり走るときにもフォームを維持するように心がけましょう。
遅くても気にしない

LSDのコツとして「遅くても気にしない」ことがあります。
ゆっくりと走ると、当たり前ですが、いつもよりタイムが遅くなり、不安になるかと思います。
・他のランナーに抜かれて悔しい
・抜き返してやりたい
・ペース上げて、さっさとゴールしたい
など、様々な思いが浮かんでくるかと思います。
とくに、走るのが遅くなってしまうのではないか心配になるかもしれません。
大丈夫です、安心してください。
遅いペースだからこそ「LSDのトレーニング効果」が得られます。
遅くても気にしないで下さい。
楽しい工夫

LSDのコツとして「楽しい工夫」があります。
・友人と会話しながら走る
・本番のレースを利用する
・リュックを背負って旅ランをする
・観光も兼ねてジョグで移動する
・景色を楽しむ
・ランニングイベントに参加する
・音楽など聞きながらジョギングする
などの工夫をして、長時間の運動を楽しく取り組むといいでしょう。
防寒対策

LSDのコツとして「防寒対策」があります。
ゆっくりと長く走っていると、汗で冷えてきて、体温が下がってしまいます。
体が冷えると、硬くなりフォームが崩れる原因になりますし、体調を崩してしまうかもしれません。
とくに冬の寒い日には、重ね着やウインドブレーカーを着用して、手袋・帽子・ネックウォーマーなどで肌を露出しないようにして、温かい恰好で行いましょう。
サングラスをかける

LSDのコツとして「サングラスをかける」ことがあります。
とくに、夏場の太陽の日差しが強いときにはサングラスをかけるかと思います。
冬場であっても、雪からの照り返しで紫外線を受けることが結構多いです。
サングラスをかけて、紫外線から目を守るとともに、日差しによる疲労を軽減しましょう。
コース設定を工夫する

LSDのコツとして「コース設定を工夫する」ことがあります。
LSDで、同じコースを走っていると飽きてくるかと思います。
電車などで遠くに移動してから、自宅まで走って帰る
近所だけど、いつもは通らないような裏道を走る
信号のタイミングでランダムに曲がってみる
行き当たりばったりで直観に頼って走ってみる
など、走るコースをいつもと違ったものにして、あきない工夫をするといいでしょう。
水分補給

LSDのコツとして「水分補給」があります。
長い距離を長い時間走っていると、汗によって水分が失われます。
足をつる原因になりますし、重度な脱水になると危険です。
トレーニング目的によっては補給なしで行う人もいるかもしれませんが、安全のため水分補給をするといいでしょう。
ウエストポーチなどにスポーツドリンクを入れて、定期的に水分を摂取するように心がけましょう。
まとめ
今回は「LSD」について説明しました。
この記事によって「LSD」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者
