・ランナーですがもっと速く走りたいです。
・走るためには、エネルギーが必要って聞きました。
・エネルギーってどのように生み出されるのですか?
この記事を読むことによって、エネルギーを生み出す方法について知ることができ、マラソンのタイムを伸ばすヒントが見つかります。
マラソン競技は、エネルギー通貨である「ATP」をいかに多く作り出すかを競うゲームとも言えます。
私はドクターランナーの立場として、日々マラソンを速く走るための研究を行っています。
より速く走るためには、生み出されるエネルギーを多くすることが非常に大切です。
日々のトレーニングによって、より多くのエネルギーを生み出せるように鍛えていくことになります。

エネルギー通貨である「ATP」という物質が重要な役割をします。
エネルギー通貨として「ATP」という物質があります。
多くのATPを作り出すことで、より多くのエネルギーを産生することができます。
では、ATPってなんですか?
ということで、今回は「ATP」について説明していきます。
ATPとは

ATPとは、「アデノシン三リン酸」(Adenocine Tri-Phosphate)のことであり、エネルギー通貨の役割をします。
マラソン競技は、エネルギー通貨である「ATP」をいかに多く作り出すかを競うゲームとも言えます。

私たちの体では、エネルギー源となる「ATP」が作り出されます。
ATP(アデノシン三リン酸)が、「ADP(アデノシン二リン酸)」と「P(リン酸)」に分解されるときにエネルギーが発生します。
なお、ATPは運動するエネルギーだけでなく、体温を維持するための熱エネルギー、生命活動のエネルギーなど様々な場面で利用することができるため「エネルギー通貨」とも言われています。
では、どのようにAPTは作り出されるのか?
その代謝経路についてみていきましょう。

無酸素性エネルギー代謝
酸素を使わずにATPを作り出す「無酸素性エネルギー代謝」として「クレアチンリン酸系」と「解糖系」があります。
クレアチンリン酸系

「クレアチンリン酸系」は、「クレアチンリン酸」が「クレアチン」と「リン酸」に分解されて、ADPにリン酸を与えることで「ATP」が合成されます。
「クレアチンリン酸系」で作られるATPは多くはないので、短距離走やジャンプ、重量挙げ等の瞬発力を要するような短時間に最大の力を発揮するような運動をするときに利用されます。
運動の持続時間は「8秒程度」と言われています。
クレアチンリン酸系の特徴
・瞬発系(短距離、重量挙げなど)
・長短時間「8秒程度」
解糖系
「解糖系」は、糖質(ブドウ糖など)をピルビン酸に分解してATPが合成されます。
ブドウ糖(グルコース)は「グルコース6リン酸」から、ホスホフルクトキナーゼという酵素の働きでピルビン酸に分解されるときにAPTが合成されます。
なお、果糖(フルクトース)は、直接「グルコース6リン酸」に代謝されて解糖系に入ります。
運動の持続時間は「30秒〜60秒程度」と言われています。
ちなみに、酸素が不足して有酸素エネルギー代謝のミトコンドリア系で処理できないピルビン酸は「乳酸」に変換されるため、激しい運動をすると血液中の「乳酸」濃度が高まります。
解糖系の特徴
・瞬発系(短距離、重量挙げなど)
・短時間「30~60秒程度」
有酸素性エネルギー代謝
酸素を使ってATPを作り出す「有酸素性エネルギー代謝」として「ミトコンドリア系」があります。
ミトコンドリア系

「ミトコンドリア系」では、解糖系から発生したピルビン酸や、脂肪酸から生成された「アセチルCoA」、アミノ酸から生成された「ピルビン酸」や「アセチルCoA」などを材料にATPが作られます。

「アセチルCoA」は、ミトコンドリア内の「TCA回路」(クエン酸回路)や「電子伝達系」において多量のATPが合成されます。
ちなみに、解糖系では1分子のブドウ糖から2分子のATPが合成されますが、有酸素系では34分子のATPが合成されます。
「TCA回路」や「電子伝達系」では複雑な過程であり、酸素も必要なため、短時間の瞬発力が必要な運動には向いてません。
しかし、大量のエネルギーが発生するためマラソン・自転車などの持久系競技に向いています。
ミトコンドリア系の特徴
・持久系(マラソン、自転車など)
・長時間
まとめ
今回は「ATP」について説明しました。
マラソン競技は、エネルギー通貨である「ATP」をいかに多く作り出すかを競うゲームとも言えます。
体内で使える糖質、脂質などの「栄養」、時間あたりに使える「酸素」の量が多くなるほど、生み出されるエネルギー量は多くなり、速く走ることにつながります。
ちなみに、「酸素、栄養、筋肉 マラソントレーニング基礎理論」で重点的に解説しているので、ご参照していただければ幸いです。
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この記事によって「ATP」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者
