・速く走るための練習メニューが知りたいです。
・具体的にどのような練習をすればいいですか?
・今、結構耳にするHIITって何ですか?
この記事を読むことによって、「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」というトレーニングメニューについて分かり、マラソンのタイムを伸ばすことができます。
私はドクターランナーの立場として、マラソンのトレーニングメニューに関して、スポーツ科学とメディカル科学の両面から調べてきました。
速く走るためには、トレーニングの目的を理解した上で行うことで、より効率的に速く走ることができます。
反対に、トレーニングを理解せずに練習をおこなっても、せっかくのトレーニング効果を無駄にしてしまう可能性があります。

トレーニングの目的を理解した上で、日々の練習をおこなうことが大切です。
では、高強度インターバルトレーニング(HIIT)というトレーニングメニューって何ですか?
マラソンのトレーニングメニューとして使うことができますか?
ということで、今回は「高強度インターバルトレーニング」について説明していきます。
高強度インターバルトレーニングとは

高強度インターバルトレーニング(HIIT:High Intensity Interval Training)とは、「強度の高い運動」と「休息」を繰り返し行うトレーニングのことです。
高強度トレーニングトレーニングでは、短い休憩をはさむことによって、高強度の運動を断続的に続けることができ、心肺機能や有酸素運動能力などを強化することができます。
逆説的ですが、高い運動負荷をかけるために「インターバルトレーニング」という手法を用いて、効率的に鍛えることになるのだと考えております。
HIITには、様々なトレーニング効果があるので説明します。
高強度インターバルトレーニングの効果
心肺機能の向上

HIITのトレーニング効果として「心肺機能の向上」があります。
HIITでは、負荷の大きい運動を断続的におこなうことによって、酸素需要が一気に高まるため、大量に酸素を取り込もうとします。
それに応じて、「心臓」や「肺」が刺激されて、より多くの酸素を送ろうとし「心肺機能の向上」につながります。
有酸素運動能力の向上

HIITのトレーニング効果として「有酸素運動能力の向上」があります。
有酸素運動能力とは、比較的長い時間の運動のことであり、酸素を使って多くのエネルギーが必要な持久系競技(長距離走・サイクリング・水泳など)を行う能力です。
HIITでは、負荷の高いを断続的に行うため、酸素需要が高まり、心肺機能などの有酸素能力が鍛えられます。
とくに、短時間で酸素需要が一気に高まるため、酸素を効率的に利用しようと、有酸素運動能力が向上します。
無酸素運動能力の向上

HIITのトレーニング効果として「無酸素運動能力の向上」があります。
無酸素運動能力とは、短い時間の運動のことであり、酸素を使わずにエネルギーを取り出す運動の種類です。
短距離走・中距離走・筋力トレーニングなど比較的短い時間の運動のことをいいます。
HIITでは、短時間で高負荷の運動をおこなうため、無酸素運動能力も向上します。
時間の節約

HIITのトレーニング効果というかメリットして「時間の節約」があります。
なんといっても、HIITは「約4分間」という短い時間で効率的なトレーニングができるというメリットがあります。
・社会人で忙しい方
・急な用事で十分に時間をとれなくなった方
・短い時間でもトレーニング習慣をつけたい方
そんな時間のない人に最適なトレーニングとなります。
ただし、トレーニング前にウォーミングアップ、トレーニング後にはクールダウンを行いましょう。
HIITは運動負荷が高いため、ウォーミングアップをせず、いきなり体に負荷をかけると、ケガにつながるので注意しましょう。
筋肉量の維持

HIITのトレーニング効果として「筋肉量の維持」があります。
ジョギングやランニングなどの有酸素運動は、長時間やりすぎると、エネルギーを補うために筋肉が分解されて、筋肉量が落ちるリスクもあります。
HIITでは、負荷の高い運動を断続的に繰り返すため、運動時間は短くなります。
長時間の有酸素運動のように、筋肉量が落ちる心配はないです。
むしろ、筋肉に負荷がかかるため、効率的に筋肉を育てることもできます。
アフターバーン効果

HIITのトレーニング効果として「アフターバーン効果」があります。
アフターバーン効果とは、運動した後にもカロリー消費が続く現象のことです。
HIITのようなハードな運動をすると、運動によって体にダメージが与えられ、それを修復するためにエネルギーが必要になります。
運動した後にカロリー消費が続くため、脂肪燃焼などが促され、「減量」や「ダイエット効果」も期待できます。
高強度インターバルトレーニングの方法
高強度インターバルトレーニングの方法として「タバタ式トレーニング」があります。
タバタ式トレーニングのタバタとは、立命館教授の田畑泉のことを指します。
科学的に証明したトレーニング方法は「タバタ・プロトコル(タバタ式トレーニング、タバタトレーニング)」と呼ばれ、スポーツジムやフィットネス界隈ではとても有名です。

タバタ式トレーニングでは、「20秒間の高強度運動」と「10秒間の休息」を1セットとして、8セット行います。
高強度運動の種目として以下のようなものがあります。
ランジジャンプ

HIITのオススメの種目として「ランジジャンプ」があります。
ランジジャンプは、足を前後に開いた状態から上方にジャンプする種目です。
ジャンプして上にいったときに足を前後入れ替えて着地します。
そして、後ろ足の膝が地面につくギリギリまで下げてから上方へ跳ぶことを繰り返します。
とくに、股関節まわり、腰まわりの大きな筋肉を使います。
より高く飛ぶことによって負荷は高くなります。
バーピージャンプ

HIITのオススメの種目として「バーピージャンプ」があります。
バーピージャンプは、立った状態から腕立て伏せの姿勢になり、立ち上がる流れでジャンプをする種目です。
バーピージャンプでは、一度腕立て伏せの姿勢になるため、上半身の筋肉にも刺激が入ります。
そして、ジャンプをするときに、股関節まわり、腰まわりの大きな筋肉、とくに、大胸筋・大殿筋・ハムストリングス・大腿四頭筋などの筋肉を鍛えることができます。
より高く飛ぶことによって負荷は高くなります。
なわとび

HIITのオススメの種目として「なわとび」があります。
以下のようなポイントを押さえて行いましょう。
①片足で「なわ」を踏んでピンと張り、グリップ部分が胸とへその間のあたりにくるよう調整する
②脇を締めて、体が天井から吊り上げられているような感覚で、体の軸をまっすぐに保つ
③視線はまっすぐ前方に定めて、跳ぶ
全力ダッシュ

HIITのオススメの種目として「全力ダッシュ」があります。
全力ダッシュでは、走る動作に関わる筋肉が使われます。
走るときには、大殿筋・ハムストリングス・大腿四頭筋・腸腰筋・腓腹筋などの下半身の筋肉だけでなく、腹直筋・腹斜筋・広背筋・三角筋など上半身の筋肉も使うことになります。
全身の筋肉をフル動員するため、全身の筋肉をバランスよく鍛えることができますし、走る動作を確認することもでき、マラソントレーニングとして実践的だと思います。
走るスピードを上げることによって負荷は高くなります。
ジャンピングニータッチ

HIITのオススメの種目として「ジャンピングニータッチ」があります。
ジャンピングニータッチは、上方にジャンプして、抱え込んだ姿勢で膝をタッチする種目です。
ジャンプをする動作では、股関節まわり、腰まわりの下半身の筋肉だけでなく、腕の動きなどを利用すると上半身の筋肉も使われます。
全身のバネを使ってジャンプするようにして、空中では膝を抱え込むようにタッチして行われます。
より高く飛ぶことによって負荷は高くなります。
マウンテンクライマー

HIITのオススメの種目として「マウンテンクライマー」があります。
マウンテンクライマーは、腕立て伏せの姿勢で、脚を前後に入れ替えていく動作をする種目です。
腕立て伏せの姿勢になるため、プランクのように腹直筋など体幹部の筋肉が使われます。
股関節の曲げ伸ばしの動作が行われますので、腸腰筋・大殿筋など股関節まわりの筋肉も使われます。
腕立て伏せの姿勢をしっかりと保つとともに、脚を素早く前後に入れ替えていくことで、負荷は高まります。
ペダリング

HIITのオススメの種目として「ペダリング」があります。
ペダリングは、エルゴメーター(固定式の自転車)で全力でペダルをこぎます。
ペダルをこぐ動作では、大殿筋・ハムストリングス・大腿四頭筋・腸腰筋などの下半身の筋肉をメインに使うことになります。
エルゴメーターを利用すると、負荷の調整や、出力の程度、時間などを正確に把握することができます。
シートの高さや、ペダルの位置などを自分に合った状態に設定して、しっかりと全力で追い込めるようにしましょう。
まとめ
今回は「高強度インターバルトレーニング」について説明しました。
HIITを行うことによって、マラソンに必要な心肺機能の強化など効率的に行うことができます。
ただし、強度の高い運動になるので、ケガ予防のためウォーミングアップとクールダウンをしっかりと行うとともに、高強度運動の種目をいろいろと試してみましょう
この記事によって「高強度インターバルトレーニング」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者
