タンパク質を摂取するポイント【ランナーの栄養学】速く走る体づくりをせよ

・もっと速く走りたいです!
・アスリートは食事が大事と聞きますが、どうすればいいの?
・タンパク質が大事だと聞きましたが、どのように摂ればいいですか?

この記事を読むことによって、食事を武器にして、マラソンのタイムを伸ばすヒントが見つかります。

私はドクターランナーの立場として、トレーニング内容だけでなく食事・栄養バランスなどを記録して研究してきました。
自分自身を実験台にした結果、食事の内容が「走りの調子」と強く関係することを改めて実感しました。
とくに、タンパク質の摂取量や質によって、コンディションに明らかな違いが表れます。

体づくりの材料である「タンパク質」を
適切に摂取することで速く走ることにつながります。

タンパク質を武器にできると、きっと自己ベスト更新につながるでしょう。

では、どのようにタンパク質を摂取すればいいですか?

ということで、今回は「タンパク質を摂取するポイント」について説明していきます。

タンパク質の摂取量

タンパク質の1日の摂取量の目安は、以下の通りになります。

・一般人は「体重1kgあたり1.0g程度」
・マラソン選手は「体重1kgあたり1.2g~1.7g程度」
・短距離選手は「体重1kgあたり1.5g~1.7g程度」
・ボディビルダーは「体重1kgあたり2g~3g程度」

筋肉の量を増やす必要があるボディビルダーの選手では、タンパク質必要量は比較的多くなります。
一方、筋肉の量がそこまで必要のないマラソン選手ではタンパク質の必要量は比較的少なめになります。

運動強度や競技の種類、個々人の体格などによってタンパク質の必要量は異なります。
そのため、自分にあったタンパク質の量を見定めることが大切になります。

タンパク質を摂取するポイント

アミノ酸スコア

タンパク質を摂取するポイントとして「アミノ酸スコア」があります。

アミノ酸スコアとは、必須アミノ酸がどれくらいの割合で含まれているかの指標です。
必須アミノ酸は、体内では合成できないアミノ酸であり、食べ物から摂取する必要があります。

「アミノ酸」は全部で20種類(9種類の必須アミノ酸と、11種類の非必須アミノ酸)ありますが、その組み合わせによって体内に必要なタンパク質が合成されます。

「20種類のアミノ酸」のうち、どれか一つ足りないだけで、目的のタンパク質を作ることは出来ません。プラモデルを作る場合、一つでもパーツの部品が欠けても完成できないのと同じです。

不足しがちな必須アミノ酸の指標である「アミノ酸スコア」が良い食品を摂取するようにしましょう。

アミノ酸のバランスを整える

タンパク質を摂取するポイントとして「アミノ酸のバランスを整えること」があります。

たとえば、白米はタンパク質が豊富ですが、「リジン」というアミノ酸が少ないため、アミノ酸スコアは「90」程度になっています。

そこで、「リジン」が含まれている「大豆」「大豆製品」と組み合わせると、足りないアミノ酸を補うことができ、食事全体としてアミノ酸スコアが「100」に近づくでしょう。
個人的には「納豆ごはん」がオススメです。

一つの食品だけでなく、他の食品との組み合わせによって、食事全体としてアミノ酸のバランスを整えることが重要です。

定期的に摂取すること

タンパク質を摂取するポイントとして「定期的に摂取すること」があります。

食事から摂取されたタンパク質は、アミノ酸に分解されて消化吸収されます。
その一部は遊離アミノ酸として存在しており、「アミノ酸プール」として体内で一定量が蓄えられます。

・体内のアミノ酸濃度が高くなると、筋肉の合成が促進されます。(アナボリック)
・体内のアミノ酸濃度が低くなると、筋肉の分解が促進されます。(カタボリック)

体内のアミノ酸濃度を保ち、筋肉の分解を防ぐためには、タンパク質を定期的に摂取することが大切です。

ボディビルでは、「1日5~7食」と食事の回数を多くし、体内のアミノ酸濃度を保つ工夫をしています。
マラソン選手では、筋肥大する必要はないため、食事回数に関しては「1日3~4食」程度で良いかと思います。

1回20~40gが目安

タンパク質を摂取するポイントとして「1回の食事でタンパク質20~40gが目安」があります。

一回の食事でのタンパク質の摂取量は「20g以上」が目安になります。
1日3食で、1日あたり「60g以上」のタンパク質を摂取することができます。

ただし、一度に消化されるタンパク質の上限は「40g程度」です。
一度にタンパク質を摂り過ぎると、消化不良が起きたり、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化するため注意しましょう。

1回の食事で「20~40g」を目安として、タンパク質を過不足なく摂取するようにしましょう。

タンパク質を摂取する注意点

タンパク質の摂り過ぎ

タンパク質を摂取する注意点として「タンパク質の摂り過ぎ」があります。

タンパク質は、大切な栄養素であり、体に良いからと摂り過ぎてしまうケースも多いです。
肉・魚、プロテインなど大量に食べてしまうと、タンパク質オーバーになりがちで、以下のような影響が出ます。

タンパク質の摂り過ぎの影響
・消化不良
・アンモニアの発生
・肝臓や腎臓への負担
・腸内環境の悪化

・肥満

タンパク質不足

タンパク質を摂取する注意点として「タンパク質不足」があります。

タンパク質は、体を作る材料になる大切な栄養素です。
加工品などが多い現代の食生活では、タンパク質不足になりがちで、以下のような影響が出ます。

タンパク質不足の影響
・筋力低下
・貧血
・睡眠の質の低下
・肌荒れ、抜け毛
・むくみ
・月経異常(女性の場合)

タンパク質を含む食品

とくにアミノ酸スコアが良い「肉」「魚」「たまご」「牛乳・乳製品」「大豆」などを中心に、動物性や植物性、バランスよく食べるようにしましょう。

肉類

とり肉…約24g(100g当たり)
ぶた肉…約22g(100g当たり)
うし…約20g(100g当たり)

魚介類

かつお…約25g(100g当たり)
まぐろ…約24g(100g当たり)
さば…約23g(100g当たり)

たまご

鶏卵…約13g(100g当たり)
鶏卵 卵黄…約16.5g(100g当たり)
鶏卵 卵白…約11g(100g当たり)
うずら卵…約12.5g(100g当たり)

牛乳・乳製品

ナチュラルチーズ…約44g(100g当たり)
ヨーグルト…約3.5g(100g当たり)
牛乳…約3.3g(100g当たり)

大豆・大豆製品

油揚げ…約23.4g(100g当たり)
木綿豆腐…約7.0g(100g当たり)
豆乳…約3.6g(100g当たり)

穀物

白米…約6.0g(100g当たり)
食パン…約9.0g(100g当たり)
そば…約4.8g(100g当たり)

まとめ

今回は「タンパク質を摂取するポイント」について説明しました。

タンパク質は、速く走るための体づくりに必要な栄養素です。
摂り過ぎや不足に注意し、タンパク質を適切な量、適切な方法で摂取しましょう。
食事を武器にすると、自己ベストを更新することにつながります。

この記事によって「タンパク質を摂取するポイント」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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