相対的エネルギー不足とは|調子がいまいち、伸び悩みの原因かも!?

マラソンのタイムを伸ばすために日々トレーニングを行っているランナー向けの記事です。

・最近、伸び悩んでいる
・疲れが抜けないです…
・調子が全然上がらない。。

このようなランナーの不調、じつは「相対的エネルギー不足」が原因かもしれません。

私はドクターランナーの立場として、長年アスリートの不調に携わってきました。
ランナーが調子が悪いときに「相対的エネルギー不足」が隠れているケースは少なくないです。

その不調、相対的エネルギー不足が原因かもしれません!

この記事を読むことによって、ランナーを苦しめる「相対的エネルギー不足」について理解することができ、ご自身でできる対処法について知ることができます。

反対に「相対的エネルギー不足」に関する知識がないと、慢性的な体調不良によってトレーニングの調子が上がらず、せっかくトレーニングをしても、伸びないどころか、タイムが悪くなっていくおそれもあります。

さあ、「相対的エネルギー不足」について一緒にみていきましょう。

相対的エネルギー不足とは

相対的エネルギー不足とは、体に必要なエネルギーが十分を得られてない状態が続くことによって、健康面や競技面に悪影響を及ぼすことをいいます。

スポーツ業界では「RED-s」(Relative Energy Deficiency in Sport)として知られており、日本語にすると「スポーツにおける相対的エネルギー不足」となります。

多くのエネルギーが使われる
・陸上競技の中距離・長距離
・マラソン競技

審美系競技(見た目が重要視される)
・体操
・バレエ
・フィギュアスケート

などの競技で、相対的エネルギー不足は多くみられます。

相対的エネルギー不足の影響

相対的エネルギー不足(RED-s)は、健康面だけでなく、競技面にも様々な影響が起こるため、「症候群」として捉えられています。

競技面への影響

相対的エネルギー不足では、ランニングなどに使えるエネルギー不足から以下のような影響があります。

・競技パフォーマンスの低下
・持久力の低下
・最大筋力の低下
・リカバリー力の低下
・伸び悩み

メンタルへの影響

相対的エネルギー不足では、競技力の低下、脳へのエネルギー不足、神経伝達物質の減少などから、以下のようなメンタルへの影響も及ぼします。

・落ち込みやすい
・判断力の低下
・メンタルの悪化
・集中力の低下
・モチベーションが下がる

健康面への影響

相対的エネルギー不足では、タンパク質がエネルギー源として消費されてしまい、タンパク質不足から以下のような影響を及ぼします。

・貧血
・疲労骨折
・スポーツ障害(ケガ)
・睡眠障害
・感染症にかかりやすくなる

とくに、「貧血」に陥ってしまうと、有酸素運動であるマラソン競技のタイムは確実に低下してしまいます。

女性アスリートの健康への影響

相対的エネルギー不足では、女性アスリートの場合は以下のような影響を及ぼします。

・月経異常
・無月経
・骨粗しょう症

とくに、「相対的エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」の3つを「女性アスリートの三主徴」とよばれます。

相対的エネルギー不足に陥りやすい理由

体重が軽いと有利である

ランナーが相対的エネルギー不足に陥りやすい原因として「体重が軽いと有利であること」があります。

「体重が1kg減ると、フルマラソンのタイムは約3分ほど速くなる」とされています。

全く同じ体力(筋力、持久力、心肺能力など)を持っているランナーでは、体重が軽い方が体を運ぶためのエネルギーが少なくていいため、より速く走れることになります。

少しでもタイムを伸ばそうと、無理なダイエットを行うと、相対的エネルギー不足になるリスクが高まります。

真面目な性格が多い

ランナーが相対的エネルギー不足に陥りやすい原因として「真面目な性格が多いこと」があります。

真面目な性格だからこそ、全体的にオーバートレーニング傾向になってしまい、相対的エネルギー不足のリスクが高まります。

マラソン競技は、コツコツとトレーニングを積み上げることによって、成果が出る競技であり、真面目な性格のランナーは多いです。

真面目な性格だからこそ、エネルギー不足で体調がいまいちな時でも、トレーニングをこなしてしまいます。
また、休むことは悪いこととして、全体的にトレーニングをやり過ぎる傾向になってしまい、相対的エネルギー不足のリスクが高まります。

エネルギーを多く使う

ランナーが相対的エネルギー不足に陥りやすい原因として「エネルギーを多く使うこと」があります。

マラソン競技は、非常に長い時間の有酸素運動になります。
42.195kmを走り切る場合、体重60kgの方では、「約2520kcal」ほどのカロリーが消費されます。

これは、一般人の1日摂取カロリーと同じくらいのエネルギー量になります。
競技によって、消費されるエネルギー量が膨大であるために、相対的エネルギー不足に陥るリスクが高まります。

相対的エネルギー不足の対処法

相対的エネルギー不足の対処法として、「摂取エネルギーを増やすこと」と「消費エネルギーを減らすこと」があります。

摂取エネルギーを増やす

摂取エネルギーを増やすために、とくに3大栄養素である「糖質」「脂質」「タンパク質」を含め栄養バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

・三大栄養素含めてバランスの良い食事を心がける
・糖質は、優先的に確保する
・脂質は調整して体重増加に注意する
・タンパク質は、良質なものを、適量を意識する

体重の増え過ぎは、マラソンのタイムに影響を及ぼすため、エネルギー量を十分確保するとともに、カロリーの摂り過ぎも防ぐように工夫することが重要になります。

消費エネルギーを減らす

消費エネルギーを減らすために、トレーニング計画や内容など見直しましょう。

・トレーニングの量をおさえる
・トレーニングの質は上げる
・短時間集中のトレーニングを意識する
・意識的に休養日を増やす

など、体力レベルを落とさず、全体的にトレーニングボリュームを抑えるように工夫しましょう。
それでも改善しないようであれば、トレーニングを一時中断する勇気も必要かもしれません。

まとめ

今回は「相対的エネルギー不足」について説明しました。

伸び悩み、何か不調を感じるときには、「相対的エネルギー不足」が隠れていることが少なくありません。
勇気をもって医療機関でメディカルチェックを受けてみることをオススメします。

相対的エネルギー不足が改善すると、今までの不調が嘘のようで、楽に走ることができるようになります。
症状が改善することによって、今までが調子悪かったことが、分かるかもしれません。

この記事によって「相対的エネルギー不足」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

この記事の著者

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