ランナーの不調の原因と対策|すぐに疲れる、伸び悩み、力が入らない

毎日、ランニングのトレーニングに励んでいますが、なかなか思うように調子が上がらないのですが、どうしてですか?

このような疑問にお答えします。

マラソントレーニングにおいて、練習を人一倍がんばっているにも関わらず、なかなかタイムが伸びない状態に陥る場合があります。

「なんか最近調子が悪いな…」
「頑張っているのにペースが上がらない…」
「すぐに息があがる…」

「なんか調子が悪い!」このような症状で悩んでいるランナーは少なくないです。

では、ランナーの不調の原因として、どのようなものがありますか?

ということで、今回は「ランナーの不調の原因」について説明していきます。

ランナーの不調の原因

貧血

ランナーの不調の原因として「貧血」があります。

貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態のことであり、全身に酸素を届ける能力が低下し、パフォーマンスが低下します。

血液検査で「Hb」(ヘモグロビン)という項目で貧血かどうか検査します。

貧血の診断
成人女性では、ヘモグロビンが「おおよそ12.0(g/dl)」以下
成人男性では、ヘモグロビンが「おおよそ14.0(g/dl)」以下

血液中の赤血球には「ヘモグロビン」があります。
「ヘモグロビン」を作るために、「鉄」や「タンパク質」などの材料が欠かせないです。

とくに「鉄」が不足して貧血になった状態のことを「鉄欠乏性貧血」と呼ばれます。

とくに、ランナーにおいて「鉄分の必要量の増加」「汗からの喪失」「赤血球の破砕」などが原因で、「貧血」になることが多いです。
また、女性の場合は、月経による出血などから「貧血」になりやすいです。

相対的エネルギー不足

ランナーの不調の原因として「相対的エネルギー不足」があります。

相対的エネルギー不足とは、体に必要なエネルギーが十分を得られてない状態が続くことによって、健康面や競技面に悪影響を及ぼすことをいいます。

スポーツ業界では「RED-s」(Relative Energy Deficiency in Sport)として知られており、日本語にすると「スポーツにおける相対的エネルギー不足」となります。

「RED-s」は、競技面だけでなく、健康面にも、以下のような様々な影響が起こるため「症候群」として捉えられています。

競技面の影響 
・競技パフォーマンスの低下
・持久力の低下
・最大筋力の低下
・リカバリー力の低下
・伸び悩み

健康面の影響 
・貧血
・疲労骨折
・スポーツ障害(ケガ)
・睡眠障害
・メンタルの悪化

女性の場合
・月経異常
・無月経
・骨粗しょう症

利用可能エネルギー不足の治療として「摂取エネルギーを増やすこと」と「消費エネルギーを減らすこと」が重要になります。
普段の食事・栄養バランスや、トレーニング量などを見直してみましょう。

糖質不足

ランナーの不調の原因として「糖質不足」があります。

「糖質」は、エネルギーに特化した栄養素です。
糖質が不足すると、エネルギー不足によって、うまく走れません。
さらに、エネルギー不足状態に陥ると、筋肉などのタンパク質もエネルギー源として使われてしまうため、コンディションを崩す原因にもなります。

糖質は、優秀なエネルギー源ですし、脂質をエネルギー源として使う場合にも、糖質の存在が必要になります。
さらに、トレーニング後のリカバリーを細胞レベルで促してくれます。

不調の原因に「糖質不足」が隠れている可能性があるので、普段の食事を一度見直してみましょう。

オーバートレーニング症候群

ランナーの不調の原因として「オーバートレーニング症候群」があります。

オーバートレーニング症候群とは、トレーニングにともなう疲労が回復しないまま、トレーニングが積み重なり、体力レベルが徐々に低下してしまうことをいいます。

「トレーニング」を行うことで、強くなっていくのだと考えるかもしれません。

しかし、実は「トレーニング」によって低下した体力を、「栄養」「休養」などで回復させ、元以上の体力レベルになって(超回復)、成長につながるのです!

「トレーニング」と「回復(リカバリー)」は憑依一体の関係であり、「オーバートレーニング症候群」は「リカバリー不足」ともいえます(超回復と反対の状態)。

オーバートレーニング症候群の治療として「トレーニング量をおさえること」と「十分なリカバリー」が重要です。
トレーニング計画を見直すとともに、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、体のケアなどを行い、リカバリーを促すことが大切となります。

トレーニングの不備

ランナーの不調の原因として「トレーニングの不備」があります。

トレーニング内容や計画に不備があると、いくらがんばっても伸び悩みにつながります。

例えば、

・速く走りたいのに、腕の筋トレばかり行っている。
・毎回、短い距離のダッシュしかやっていない
・ひたすら、ゆっくり長くジョグをして距離を稼いでいる

残念ながら、このようなトレーニングばかりしていても、決して速く走ることはできません。

結果を出すためには「トレーニング原理」(過負荷の原理、特異性の原理、可逆性の原理)を踏まえたで計画を立てる必要があります。

不十分なトレーニング負荷
的外れなトレーニング
不十分なリカバリー

このように、トレーニング原理からズレていては、いくら頑張っても残念ながら成果に結びつかないです。
むしろ、競技パフォーマンスを落とす可能性すらあります。

短期的なトレーニング計画だけでなく、中長期的な視点をもって、トレーニング計画を立てることが重要です。
とくに、マラソンなどの持久系のスポーツは、長い期間のトレーニングの積み重ねが大切です。
焦らずに、じっくりと、自分にとって適切なトレーニングを行いましょう。

低タンパク血症

ランナーの不調の原因として「低タンパク血症」があります。

低タンパク血症とは、血液中のタンパク質濃度が低い状態のことです。
筋肉などを育てるために必要なタンパク質が少ないため、筋力低下、リカバリー力の低下、貧血などによって競技パフォーマンスは下がります。

食事からのタンパク質不足、エネルギー不足、肝機能の低下などが原因としてあります。
質の良いタンパク質を適量摂取すること、食事から十分エネルギー摂取すること、トレーニングによるエネルギー消費をおさえることなどがちりょうとなります。

ランナーの不調のわかりやすい原因

風邪などの病気

ランナーの不調の原因として「風邪などの病気」があります。

風邪などの病気にかかると、当たり前ですが競技パフォーマンスは低下します。
しっかりと、静養につとめて、体調不良を治しましょう。

頑張り過ぎなランナーに多いのですが、少し風邪をひいたくらいでは、へこたれずトレーニングを継続する人もいます。
残念ながら、トレーニング負荷は上がらず、トレーニングの質は確実に落ちます。
むしろ、風邪をこじらせてしまい、治るのに時間がかかってしまいます。

体調が悪いときには、無理せず、あきらめて、静養して体調が回復することに専念しましょう。

バーンアウト

ランナーの不調の原因として「バーンアウト」があります。

バーンアウトは、スポーツや競技活動に対するモチベーションがなくなり、心身ともに消耗・疲弊した状態のことをいいます。

バーンアウトとは「燃え尽き症候群」とも呼ばれ、医学的にはうつ病の一種と言われています。

・思うような結果が出ない
・まわりのプレッシャー
・自分自身を追い込み過ぎる
・大きな目標を達成した後
・チームでの人間関係

などが原因として挙げられます。

バーンアウトの状態に陥ると、競技を行うのが嫌になり、トレーニングを中断してしまうことにつながります。
最悪の場合には、その競技に復帰するのが困難になってしまいます。

体重の増加

ランナーの不調の原因として「体重の増加」があります。

「体重が1kg増えると、フルマラソンのタイムは約3分ほど遅くなる」とされています。

全く同じ体力(筋力、持久力、心肺能力など)を持っているランナーでは、体重が軽い方が体を運ぶためのエネルギーが少なくなるため、より速く走れることになります。

反対に、体重が増加すると、必要なエネルギー量が増えるだけでなく、走りのバランスが崩れやすく、遅くなることにつながります。

ランナーにとって、体重管理は大切です。
ただし、あまりにも体重を落とし過ぎると「相対的エネルギー不足」などによって調子が悪くなってしまう可能性があるため注意が必要です。

スポーツ障害

ランナーの不調の原因として「スポーツ障害」があります。

スポーツ障害とは、関節や靭帯、腱、骨などに繰り返し運動負荷が加わることで起こる障害のことを言います。

慢性的な疲労状態、使いすぎ(オーバーユース)、動作に対して不十分な筋力、不適切なフォーム、リカバリー不足などが原因で起こります。

スポーツ障害が起こると、受傷した部分をかばってしまい、競技パフォーマンスが上がりません。
動きやフォームロに変なクセがついてしまい、後々にも悪影響を与える可能性があります。

トレーニングを継続すると、十分なトレーニング効果を得られないですし、治療期間が長引くおそれがあります。
ケガをしてしまったら、治療に専念するとともに、受傷部位に影響がないトレーニングをしてリハビリに励みましょう。

まとめ

今回は「ランナーの不調の原因」について説明しました。

この記事によって「ランナーの不調の原因」の理解が深まり、不調で悩んでいるランナーの役立つことが出来れば幸いです。

とくに、貧血、栄養バランスの偏り、相対的エネルギー不足などが隠れている場合が多いです。
自分自身、「ドクターランナー」として、不調で悩んでいるランナーやアスリートの治療を行っています。
アスリートの方で不調で悩んでいる方は、気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

この記事の著者

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