鉄欠乏性貧血とは|体調不良の原因【ランナーのための病気の知識】

鉄欠乏性貧血って何ですか?

このような疑問にお答えします。

スポーツ選手でパフォーマンスが上がらない
常に体がだるい感じがする
すぐに疲れを感じる

このような症状の場合、鉄欠乏性貧血が隠れている場合があります。
スポーツ選手以外にも、成長期にある人、月経の量が多い女性などは貧血になりやすいです。

では、鉄欠乏性貧血って何でしょうか?

ということで、今回は「鉄欠乏性貧血」について説明していきます。

鉄欠乏性貧血とは

鉄欠乏性貧血は、鉄が不足するために起こる貧血のことです。

そもそも貧血とは、何らかの原因で赤血球が減少した状態のことです。
血液検査で「Hb」(ヘモグロビン)という項目をみて貧血かどうか検査します。
成人女性の場合では、ヘモグロビンの値がおおよそ「11-12(g/dl)」以下で貧血と判断されます。

また、血液中の赤血球を構成している「ヘモグロビン」というタンパクがあります。「ヘモグロビン」を生成するには「鉄」が欠かせないです。
その「鉄」が不足するために「ヘモグロビン」が低下し貧血となった状態のことを「鉄欠乏性貧血」と呼ばれます。

鉄欠乏性貧血は、鉄が不足するために起こる貧血のことです。

鉄欠乏性貧血の症状

鉄欠乏性貧血の症状として「易疲労感」「息切れ」「動悸」「全身倦怠感」「立ちくらみ」などがあります。

赤血球は全身に酸素を運ぶ役割をします。
貧血では、赤血球の数が低下しているため、全身に十分な量の酸素を運搬することができなくなります。
すると、からだを動かすとすぐに「疲れやすく」「息切れ」しやすくなったり、心拍数があがり「動悸」が起こります。また、「全身倦怠感」「立ちくらみ」などの症状があらわれます。

鉄欠乏性貧血の症状として「易疲労感」「息切れ」「動悸」「全身倦怠感」「立ちくらみ」などがあります。

鉄欠乏性貧血の原因

鉄分の摂取不足

鉄分の摂取不足によって、鉄欠乏性貧血が起こります。

具体的にいうと、「偏食」による鉄分摂取不足、「胃腸切除術」などによる鉄分の消化吸収低下などが挙げられます。

鉄分の需要増加

鉄分の需要増加によって、鉄欠乏性貧血が起こります。

具体的にいうと、「成長期」による必要な鉄分が増加すること、「妊娠・授乳期」に伴う体への変化による鉄分の需要増加などが挙げられます。

鉄分の必要量の増加

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「鉄分の必要量の増加」があります。

ランナーにとって、「鉄分」はとても重要な栄養素です。
走るためのエネルギーを生み出すために、筋肉に「糖質」や「脂質」とともに、「酸素」が必要になります。
その酸素を運ぶために必要なのが、血液中の「赤血球」という成分であり、それを構成している「ヘモグロビン」という色素が重要な役割を果たしています。
ヘモグロビンは、タンパク質や鉄分などを材料に作られているため、鉄分はランナーにとって欠かせない栄養素になります。

そして、ランニングをする上で、その鉄分の必要量は一般の方に比べて増加します。

成人男性:7~10mg/日
成人女性(月経あり):10~12mg/日
アスリート(長距離選手):15~18mg/日

となっており、鉄分の必要量は高くなっています。
一般の方と同じような食事をとっていては、鉄分不足になりやすいのです。

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「鉄分の必要量の増加」があります。

出血

出血によって、鉄欠乏性貧血が起こります。

具体的にいうと、「月経」などの性器出血による出血、胃・十二指腸などの消化管出血、交通外傷などによる多量出血などが挙げられます。

汗からの喪失

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「汗からの喪失」があります。

ランニングをするとどうしても汗をかきます。

とくに、

激しいトレーニング
暑い中のランニング
長い時間のトレーニング

などでは大量の汗をかいてしまいます。
汗をかくと、同時にナトリウムだけでなく鉄分などのミネラルも一緒に失われてしまうのです。
ランニングによって、大量の汗をかいて、鉄分が失われるため、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「汗からの喪失」があります。

赤血球の破砕

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「赤血球の破砕」があります。

ランニングでは、足の裏に強い衝撃がかかります。
走るスピードにもよりますが、おおよそ体重の3倍程度の衝撃がかかると言われています。
体重が60kgであれば、おおよそ180kg程度の衝撃がかかります。
走る距離が長くなると、その衝撃を受ける回数が増加するので、足裏への衝撃が蓄積されます。

足裏への衝撃から、血液中の赤血球が破砕されて(溶血が起こり)、「溶血性貧血」につながります。
貧血を改善するために、赤血球を作るために、材料となる鉄分が必要になるため、「鉄欠乏性貧血」につながるのです。

ランナーの鉄欠乏性貧血の原因として「赤血球の破砕」があります。

鉄欠乏性貧血の治療

鉄分摂取

軽度な貧血であれば、食事などで鉄分を摂取することで治療を行います。

「レバー」「しじみ」「小松菜」「ほうれんそう」など鉄分を多く含む食品を摂りましょう。

また、鉄分の吸収には「ビタミンC」が効果的であり、赤血球が作られるときには「ビタミンB6」「ビタミンB12」「葉酸」が必要になるので、それらの摂取も意識しましょう。
また、紅茶・コーヒー・緑茶に含まれる「タンニン」や、穀物・野菜・果物に含まれる「フィチン」という成分は鉄の吸収阻害するため摂りすぎに注意が必要です。

鉄剤の薬

中等度以上の貧血であれば、鉄剤の薬を使って治療を行います。

鉄剤には、「錠剤」「カプセル」「粉薬」「シロップ剤」など様々な剤形があります。
飲みにくい薬なので、自分にあった剤形を選ぶといいでしょう。また、胃不快感が出やすいので、胃薬と一緒に飲むことが多いです。

どうしても飲むことが出来ない場合は「注射」もあるので担当の医師と相談してみると良いでしょう。

輸血

重度の貧血であれば、「輸血」をおこなって治療を行います。

ヘモグロビンの値が低く、貧血による症状がひどい場合には、「輸血」が行われます。
輸血は、通常他人の血液が用いられるので、アレルギー反応や感染症などのリスクがあります。しかし、そのリスク以上に必要と判断された場合には、輸血が行われます。

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイント

運動量をおさえる

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「運動量をおさえる」ことがあります。

鉄欠乏性貧血になってしまったら、まともなトレーニングは出来ません。
トレーニングを行ったとしても、トレーニングの質が上がらず、適切なトレーニング負荷をかけることが難しくなります。
とくに重度な貧血になった場合には、トレーニングはあきらめて、治療に専念した方がいいでしょう。
軽度な貧血でトレーニングが可能な状態であっても、基本的には運動量はおさえた方がいいです。
いつも通りのトレーニングをおこなうと、鉄分の必要量が高まり、鉄分不足が慢性化してしまい、貧血の改善は遅れてしまうでしょう。
また、いつも通りのトレーニングをおこなっても、負荷を上げることが出来ず、トレーニング効果は低下してしまいがちです。

鉄分の摂取を意識するとともに、トレーニング量をおさえて、貧血が改善してくるのを待ちましょう。

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「運動量をおさえる」ことがあります。

汗をおさえる

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「汗をおさえる」ことがあります。

ランニングをするとどうしても汗をかきます。

とくに、

激しいトレーニング
暑い中のランニング
長い時間のトレーニング

などでは大量の汗をかいてしまいます。
汗をかくと、同時にナトリウムだけでなく鉄分などのミネラルも一緒に失われてしまうのです。
ランニングによって、大量の汗をかいて、鉄分が失われるため、鉄欠乏性貧血の改善が遅れてしまいます。

鉄欠乏性貧血でトレーニングをおこなう場合には、できるだけ汗をかかないような工夫が必要です。

たとえば…

薄着で運動する
涼しい屋内でトレーニングする
気温の低い時間帯に運動する
激しい運動は控える
長時間のトレーニングは避ける

などがあります。

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「汗をおさえる」ことがあります。

足裏への衝撃をおさえる

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「足裏への衝撃をおさえる」ことがあります。

ランニングでは、足の裏に強い衝撃がかかります。
走るスピードにもよりますが、おおよそ体重の3倍程度の衝撃がかかると言われています。
体重が60kgであれば、おおよそ180kg程度の衝撃がかかります。
走る距離が長くなると、その衝撃を受ける回数が増加するので、足裏への衝撃が蓄積されます。

足裏への衝撃から、血液中の赤血球が破壊されてしまい、赤血球の数が減少し、貧血につながります。
さらに、赤血球を作るために、鉄分が必要になるため、鉄欠乏性貧血につながるのです。

鉄欠乏性貧血でトレーニングをおこなう場合には、足裏への衝撃のあるランニングは控えて、別のトレーニングを行いましょう。

たとえば…

プールで泳ぐ
プールの中で歩く、走る
エアロバイクでトレーニングする
筋トレをおこなう
ストレッチ運動をおこなう
イメージトレーニングを取り入れる

などがあります。

鉄欠乏性貧血のトレーニングのポイントとして「足裏への衝撃をおさえる」ことがあります。

まとめ

今回は「鉄欠乏性貧血」について説明しました。

スポーツ選手の場合、鉄欠乏性貧血によって競技パフォーマンスを落とすことにつながります。
いつもと比べて調子が悪い場合には、血液検査で貧血が大丈夫か調べるようにしましょう。

また、明らかな症状がない人でも、血液検査をしたら「貧血」だとわかる場合があります。

全身だるい…
なんとなく気力が湧かない…
疲れやすい…

そんな症状で悩まされている時には「貧血」が隠れている場合があります。

長期間貧血になっていて、その状態に慣れてしまい、重度の貧血になっているなんてこともあります。

いつもと体調が違っておかしいと思ったら、血液検査で貧血を評価してもらうことをオススメします。

この記事によって「鉄欠乏性貧血」の理解が深まり、一人でも多くの人が健康的に過ごすことが出来ることを願っています。

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