エネルギーはしっかりと貯めてから使うべし【レースに向けてのピーキング戦略】

マラソンのタイムを伸ばすために日々トレーニングを行っているランナー向けの記事です。

・速く走るための食事について勉強したい
・日々の栄養を見直したい

・本番で良い結果を出したい

このような意見にお答えします。

私はドクターランナーの立場として、自分の体を使って食事に関する実験を行っています。
食事の内容によって走りの感覚が変化するので、日々楽しく実験しております。
毎日のトレーニングでは良い感じだけど、本番でうまく力を発揮できない時が、たびたび経験します。

食事や栄養をうまく活用して、適切にピーキングすることによって、本番のレースで結果を出すことができます!

この記事を読むことによって、マラソンのレース本番で、食事から生み出されるエネルギーのピーキングについて理解することができます。
エネルギーのピーキングがうまくいくと、本番でしっかりとエネルギーを生み出すことができ、良い結果にもつながるでしょう。

エネルギーは、「ためて」→「使う」という視点が大切です。
さあ、「エネルギーのピーキング」について一緒にみていきましょう。

エネルギーの貯蔵について

糖質は「グリコーゲン」として貯蔵される

三大栄養素の糖質は「グリコーゲン」として貯蔵されます。

糖質は、小腸で消化吸収されて、門脈→肝臓を経由→血液中を経て全身に送られます。そして、糖質は筋肉や肝臓に「グリコーゲン」として蓄えられます。

グリコーゲンとして貯蔵される量は、筋肉に「約300g」、肝臓に「約100g」、合計「約400g(1600kcal)」となります。
2~3日間程度、高糖質食を摂ることによって、グリコーゲンを貯蔵することができます。
なお、その前の期間にグリコーゲンを枯渇させると、その後の高糖質食によるグリコーゲン貯蔵量がより多くなるのです。(カーボローディング、グリコーゲンローディング)

なお、グリコーゲンは「1g当たり約3gの水分」と、多くの水分も引き込みます。
つまり、グリコーゲン「250g」(1000kcal)の蓄えで、水分も入れると「約1000g」の重量になるため、体重は結構重たくなります。

糖質は多くの水分とともに動く

糖質は多量の水分とともに動くため、体重の変化が激しくなります。
スピードを出すトレーニングでは、多くの糖質が使われるため、汗を大量にかく(寒い日には尿の量が多くなる)かと思います。

また、糖質を多く含むものを食べると、水分が必要になるため、のどが渇きやすくなるでしょう。昔から、甘いものを食べると、のどが渇くと言われてきたものです。

なお、糖質制限ダイエットでは、貯蔵されたグリコーゲンと一緒に水分も落ちるため、短期間に1~2kg程度の体重減少させることができます。ただし、すぐに体重が戻りやすいですし、効果が長続きするものではないためオススメしません。

脂質は「体脂肪」として貯蔵される

三大栄養素の脂質は「体脂肪」として貯蔵されます。

脂質は、小腸で消化吸収されて、リンパ管→血液中→肝臓を経由→血液中を経て全身に送られます。
そして、内臓脂肪→皮下脂肪の順に体脂肪として蓄えられます。
「血液中の脂肪酸」→「筋肉内脂肪」→「内臓脂肪」→「皮下脂肪」の順に、エネルギー源として使われやすいです。

高脂質食を摂ることによって、脂質を貯蔵することができます。(ファットチャージング ※自分が勝手に呼んでます)
なお、脂質だけでなく糖質も一緒に摂取すると「体脂肪」として貯まりやすいです。

自分の体感ですが、3~4日以上ためこんだ脂質はエネルギー源として使われにくい印象があるため、2~3日間程度のチャージング期間をオススメします。

ちなみに、体重60kg、体脂肪率20%の方で、約12kgの体脂肪が貯蔵されています。
体脂肪には脂質だけでなく水分なども含まれており「脂肪1kgあたり約7000kcal」なので、「約84000kcal」という膨大なエネルギーが蓄えられています。

なお、脂肪の場合は「1000kcal」生み出すために「約143g」の重量で済みます。
体重の増加という視点でいうと、糖質に比べて脂質の方が有利といえます。

異所性脂肪とは

異所性脂肪とは、本来脂肪が多くたまらない「肝臓」「筋肉」「膵臓」「心臓」などの臓器に蓄積される脂肪のことをいいます。
カロリーの摂り過ぎ、過食、運動不足などが原因とされています。

ちなみに、自分は「やせ型の脂肪肝」「脂質異常症」です。
そして、エネルギー源は「脂質タイプ」です。慢性的なトレーニングによるエネルギー不足によって、エネルギーを蓄えようと肝臓に脂肪が蓄積したものと考えております。(通常の糖質タイプでは、肝臓にグリコーゲンが貯蔵される)
「やせ型の脂肪肝」は完全に解明されていないので、研究報告が待ち遠しいです。

タンパク質は「筋肉」に貯蔵される

三大栄養素のタンパク質は「筋肉」に貯蔵されます。

タンパク質は、「アミノ酸」に分解されて小腸で消化吸収されます。
門脈→肝臓を経由→全身の血液・リンパ液、細胞間質、肝臓・筋肉などの臓器にアミノ酸プールとして、遊離アミノ酸やタンパク質の断片などが存在します。

アミノ酸を材料として体に必要な物質が作られますが、余ったアミノ酸の濃度が高まると「筋肉の合成」が進み、アミノ酸やタンパク質が「筋肉」の中に貯蔵されると考えております。

ボディメイクをされている選手は、タンパク質を多く摂取し、体内のアミノ酸濃度を上げて、「筋肉の合成」を優位にして、「筋肥大」させています。

エネルギーをためるには

同化ホルモンを活用する

エネルギーをためるには「同化ホルモンを活用すること」があります。

同化ホルモン
・インスリン…細胞内に糖質や中性脂肪、アミノ酸などを取り込む
・ソマトメジンC(IGF-1)…タンパク質・糖質・脂質の同化
・テストステロン…筋肉の合成を促す
・成長ホルモン…タンパク質の同化、糖質・脂質は異化

同化(アナボリズム)は、「単純な物質(糖質、脂質、アミノ酸など)」から「複雑な物質(グリコーゲン、体脂肪、タンパク質など)」を合成する反応のことです。

ちなみに、血糖値を下げることで有名なインスリンですが、細胞内に糖質などを取り込むため細胞レベルでのリカバリーに必要な物質です。
トレーニング後は、糖質を十分摂取すると、枯渇した糖質を補いますし、インスリン分泌も促されるためオススメします。

また、次に説明する副交感神経を優位にすることで、同化ホルモンは活性化します。

副交感神経を優位にする

エネルギーをためるには「副交感神経を優位にすること」があります。

副交感神経
・栄養バランスの良い食事を摂取する(よく噛む、楽しく食べる)
・リラックスした時間を過ごす(入浴、ストレッチ、マッサージ、瞑想など)
・十分な睡眠をとる
・リラックスする呼吸法
・激しいトレーニングは控える

食事を摂取することによって、三大栄養素などを取り入れることができ、エネルギーをためることができます。
リラックスした状態を作り出すことで、副交感神経が優位になり、食べ物の消化が促されます。

個人的には、マインドフルネス瞑想や呼吸法は、積極的に副交感神経が優位な状態を作り出すことができるため、オススメします。

エネルギーを使うには

異化ホルモンを活用する

エネルギーを使うには「異化ホルモンを活用すること」があります。

異化ホルモン
・グルカゴン…グリコーゲンの分解を促す
・アドレナリン…血糖を上げる、脂肪の分解、心拍数・血圧を上げる
・コルチゾール…タンパク質の分解、脂肪の分解、血糖値を上げる、血圧を上げる
・甲状腺ホルモン…栄養素からエネルギー変換を促す、心拍数・血圧を上げる
・ソマトスタチン…消化管の栄養吸収する機能をおさえる
・成長ホルモン…糖質・脂質の異化、タンパク質は同化

異化(カタボリズム)は、「複雑な物質」を分解してエネルギーを生み出す反応のことです。

ちなみに、「コルチゾール」は脂質が材料であるホルモンです。
自分の経験ですが、「脂質不足」によってコルチゾールが低下し、エネルギーをうまく使えず、トレーニングやレース本番で明らかに走れない状態になりました。
ランナーは、脂質の必要量が多く、不足しがちなので注意しましょう。

また、次に説明する交感神経を優位にすることで、異化ホルモンは活性化します。

交感神経を優位にする

エネルギーを使うには「交感神経を優位にすること」があります。

交感神経
・ストレスフルな環境
・プレッシャーを与える
・覚醒する呼吸法
・レース本番に挑戦する

基本的には、興奮・覚醒した戦闘モードを作り出すことで、交感神経が優位になります。

レース本番に向けて、気持ちを高ぶらせていきましょう。
そして、レース前に貯めてきたエネルギーを解き放ち、レース本番では出し惜しみせずに、エネルギーをしっかりと使い切りましょう。

エネルギーのピーキングがうまくいくと、きっと素晴らしいタイムが出ることでしょう。

まとめ

今回は「エネルギーのピーキング」について説明しました。

ヒトは、常に全速力で走り続けることは不可能です。
調子が良いとき、調子が悪いときがあるものです。
「アクセル」と「ブレーキ」をうまく使いこなすことで、本番のレースでうまくピークを合わせることができます。

この記事によって「エネルギーのピーキング」についての理解が深まり、エネルギーのピーキングがうまくいき、本番レースで良い結果が出ることを願っています。

この記事の著者

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