タイムを伸ばすために日々トレーニングを行っているランナー向けの記事です。
・トレーニングをすると体調を崩しやすいです
・いつも貧血を指摘されています。
・調子がいまいちですが、原因を知りたいです。
この記事を読むことによって「ランナーの健康管理」についてわかります。
私はドクターランナーの立場として、トレーニング内容だけでなく、ランナーの健康管理について研究しています。
強度が高いトレーニングをおこなうと、貧血になりやすかったり、コンディションを崩してしまうランナーも少なくないです。
強度の高いトレーニングをおこなう場合、体が酸性になる「アシドーシス」という状態に注意が必要です。

アシドーシスによって、ランナーはコンディションを崩してしまうおそれがあります。
では、ランナーを苦しめるアシドーシスとは何だろうか?
今回は「アシドーシスの影響」についてみていきましょう。
アシドーシスによる溶血性貧血
溶血性貧血とは

溶血性貧血とは、溶血によって貧血になった状態をいいます。
「溶血」とは、寿命を迎える前に赤血球が破壊されることです。
溶血によって貧血になった状態を「溶血性貧血」と呼びます。
「溶血性」だけでなく「貧血」になると、全身に酸素を運ぶ能力が低下し、運動を持続するのが困難となるため、マラソンなどの持久系競技のパフォーマンスは低下します。
アシドーシスによる溶血性貧血

溶血の原因として「アシドーシス」があります。
「アシドーシス」とは、体が酸性に傾いた状態のことをいいます。
血液が酸性に傾いた状態になると、酸によって赤血球がこわされやすい状態になって、溶血性貧血が起こりやすくなります。
夜間発作性ヘモグロビン尿症
夜、寝ている時に、呼吸数が低下すると、血液中の二酸化炭素が増加し、軽度のアシドーシス状態になります。
すると、アシドーシスによって赤血球が壊され「溶血性貧血」が起こり「ヘモグロビン尿」が認められます。
これを「夜間発作性ヘモグロビン尿症」と呼ばれます。
マラソントレーニングとアシドーシス

強度の高いマラソントレーニングにおいて「アシドーシス」となることがあります。
ゆっくりしたペースから速いペースまで、さまざまな走るペースがあります。
乳酸濃度が上がる領域「閾値」(LT値)といわれる以上のペースで走ると、乳酸がたまり「アシドーシス」となりやすいです。(乳酸アシドーシス)
アシドーシスの状態において、走りによる足裏への衝撃が加わると、「溶血性貧血」が起こりやすいと考えられます。
溶血性貧血になりやすいランナーは「閾値」以上のペースのトレーニングは、自分のキャパに見合ったものにコントロールするようにしましょう。
また、足裏への衝撃をおさえるためにエアロバイクなどを活用してもいいでしょう。
アシドーシスによるタンパク質の変性
タンパク質の働き

タンパク質は、アミノ酸が結びついてできた物質であり、主に体の材料となる栄養素です。
体内で利用される「アミノ酸」は全20種類ありますが、その組み合わせによって「タンパク質」が合成されます。
数十個から数百個以上のアミノ酸が集まって、約10万種類と言われている「タンパク質」が作られます。
タンパク質は、「筋肉」「皮膚」「臓器」「毛髪」「骨」「ヘモグロビン」などの体の材料になります。
さらに、「ホルモン」(体内の働きを調節する物質)や、「酵素」(体内の代謝反応を促す物質)、「神経伝達物質」(神経細胞同士の情報を伝える物質)、「免疫細胞」などの材料にもなります。
タンパク質不足による症状

タンパク質不足によって、様々な症状が起こります。
とくにランナーにとって重要な点は、タンパク質は筋肉の材料になりますが、「タンパク質」が不足すると、筋力が低下しますし、せっかくトレーニングしても、その効果は低下し、伸び悩みにつながります。
ヘモグロビンの材料である「鉄」だけでなく「タンパク質」が不足すると「貧血」につながり、持久力の低下につながります。
また、タンパク質の中でも「アルブミン」が低下すると心拍出量が低下し、これもまた持久力の低下につながります。
また、肌トラブルが多くなったり、髪のハリがなくなり、抜け毛などにつながります。
ホルモンや酵素不足から、コンディションは崩れやすくなり、女性では「月経異常」などが起こります。
ドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が不足すると「メンタル不調」、メラトニンなどの睡眠物質が不足すると「睡眠の質の低下」にもつながりますし、「免疫細胞」が少なくなると免疫力が低下します。
なお、骨の材料である「カルシウム」だけでなく「タンパク質」も不足すると、「骨密度の低下」や「疲労骨折」のリスクを高めます。
つまり、タンパク質不足は、ランナーにとって選手生命を奪ってしまう状態であり、避けなければならないのです。
アシドーシスとタンパク質変性

アシドーシスによって「タンパク質変性」が起こります。
アシドーシスによって、体が酸性になると、タンパク質は変性します。
タンパク質の機能は低下し、タンパク質不足と同じような症状が起こり、コンディションを崩すことにつながります。
アシドーシスになるような強度の高いトレーニングによって、コンディションを崩しやすいランナーは、トレーニング強度やトレーニング頻度を見直しましょう。
ただし、速く走るためには、「強度の高いトレーニング」は必要です。
個々人の体質によって、トレーニングをコントロールすることが非常に大切です。
まとめ
今回は「アシドーシスの影響」について説明しました。
この記事によって「アシドーシスの影響」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
この記事の著者



