速く走るための「三大栄養素」の考え方【ランナーのための栄養学】

・アスリートは食が大事と聞きますが、どうすればいいの?
・日々の食事で何か気をつけることありますか?
・速く走るために、食事をどうすればいいですか?

この記事を読むことによって、食事を武器にして、マラソンのタイムを伸ばすヒントが見つかります。

私はドクターランナーの立場として、トレーニング内容だけでなく食事・栄養バランスなどを記録して研究してきました。
自分自身を実験台にした結果、食事の内容が「走りの調子」と強く関係することを実感しております。

アスリートにとって日々の食事は非常に大切です。
食事にこだわることで、速く走ることにつながります。

速く走るためには、トレーニングだけではなく、食事・栄養などを味方につけることが大切です。
エネルギー源となる三大栄養素であるタンパク質、脂質、糖質がとくに重要になります。
速く走るためには、自分にあった栄養バランスの食事を心がけることが大切です。

では、速く走るためには、どのような食事が良いのでしょうか?

今回は「ランナーに必要な三大栄養素の考え方」について説明します

タンパク質

ランナーに必要な「タンパク質」

ランナーに必要な三大栄養素として「タンパク質」があります。

タンパク質は、体の材料となり、さまざまな体の構造を作る働きをします。
ランナーにとって、速く走るための肉体作り、激しいトレーニングからのリカバリーなどで大切な役割をします。

ランナーのタンパク質は「体重あたり約1.2g~1.7g」が目安

1日に必要なタンパク質は「摂取エネルギーの13-20%」が目安です。
一般人の推奨量は成人男性で「1日60g」、成人女性で「1日50g」となっています。
マラソンランナーでは、「体重あたり約1.2g~1.7g」(体重60kgで72~102g)が目安です。

タンパク質は、摂り過ぎると肝臓などにダメージが加わり、かえって体調を崩す可能があります。
不足せず、摂り過ぎず、適量を意識して摂取するといいでしょう。

タンパク質は「肉」「魚」「卵」「乳類」「豆類」「穀類」などに含まれる

タンパク質は、「肉類」「魚介類」「卵類」「乳類」などの動物性タンパク質の他、「豆類」「穀類」などの植物性タンパク質があります。
特定の食品に偏らず、それぞれのタンパク質をバランスよく食べるようにしましょう。

脂質

ランナーに必要な「脂質」

ランナーに必要な三大栄養素として「タンパク質」があります。

脂質は、「体のエネルギー源」になるだけでなく「細胞膜の材料になる」「脂溶性ビタミンの消化をサポートする」などの働きをします。

ランナーの脂質の目安量は「1日の必要エネルギーの25%から30%」

一般人の1日に必要な脂質は、「1日の必要エネルギーの13%から20%」が目安です。
ただしランナーにおいて、脂質の目安の量は「1日の必要エネルギーの25%から30%」と一般人と比べて多くなっております。
これは、長時間の運動をするために、脂質代謝が促されて、必要な脂質の量が多くなるためです。

例えば、必要エネルギーが「3000kcal」のランナーでは「750kcalから900kcal」、つまり「83gから100g程度」の脂質を摂取することが目安になります。

これは、あくまで脂質の摂取量の目安であり、競技内容やトレーニング内容、トレーニング時期、それぞれの身長・体重などの体格によって、脂質を摂取すべき量は異なります。

脂質の必要量は意外と多いかも…
自分自身は脂質代謝が盛んなマラソンランナーであり、1日最低「110g程度」の脂質が必要なことが実験で判明しました。
この値を下回ると、コンディションが低下して、走りの調子が悪いですし、慢性的な貧血に悩まされていました。
一般の感覚からすると、かなり多い脂質の量です。このように脂質の必要量には個人差があることを頭に入れておきましょう。

脂質は、魚類、油類、ナッツ類などに含まれる

脂質は、「さば」「サーモン」などの魚類、オリーブオイル・アマニオイルなどの油類、クルミ・マカダミアナッツなどの豆類などに多く含まれています。
とくに、体に良い脂質である「オメガ3系脂肪酸」が多く含まれている青魚(さば・いわしなど)、ナッツ類はオススメです。
加工食品、揚げ物、加熱した油などには、体に悪い「トランス脂肪酸」が含まれているため、控えるようにしましょう。

糖質

ランナーに必要な「糖質」

ランナーに必要な三大栄養素として「糖質」があります。

糖質は、エネルギー源となる働きをします。
エネルギーに特化した栄養素です。

糖質の目安量は「1日に必要なエネルギー量の50%~65%程度」

糖質(炭水化物)の1日の必要量は「1日に必要なエネルギー量の50%~65%程度」となります。
ランナーが速く走るためのエネルギー源となるため、非常に大切な栄養素です。

糖質は、ごはん・小麦製品などの穀物類、いも・でん粉類などに含まれる

糖質は、ごはん・パン・パスタ・麺類などの穀類、いも・でん粉類などに多く含まれています。
ちなみに、炭水化物は「白い炭水化物」と「茶色の炭水化物」があります。
茶色の炭水化物は、玄米・雑穀・全粒粉などおもに精製されていないものであり、食後の血糖値の急上昇を抑えてくれ、健康にも良いため、オススメです。

ランナーに必要な三大栄養素の考え方

タンパク質は適量を意識する

タンパク質は「適量」を意識するようにしましょう。

タンパク質は不足すると、体の材料が不足します。
反対に、タンパク質を摂り過ぎると、エネルギー源としてタンパク質が使われたり、肝臓に負荷がかかります。
おもに肝臓においてタンパク質は作られますが、タンパク質を摂り過ぎると肝臓の働きが低下し「低タンパク血症」につながる可能性があります。

タンパク質は摂り過ぎも良くないので、適量を意識して摂取するようにしましょう。

脂質は最低必要量を確保する

脂質は「必要量」を最低限確保するようにしましょう。

脂質は、多すぎると体重増加につながり、走りが重たくなってしまいます。
反対に不足すると、エネルギー不足だけでなく、生命活動に必要な栄養素であるためコンディショニングを崩してしまうおそれがあります。

ランナーの場合、糖質を多めに摂取するよう意識すること、走行距離が長くなるタイミングなどで脂質不足に陥りがちです。

また、一般人よりもかなり多くの脂質を必要とするランナーもいます。
栄養計算をしていて、一般の感覚だと脂質は足りていると誤って判断してしまうケースもあるため注意が必要です。
常識をこえた量の脂質が必要なランナーもいるため、自分自身にあった脂質の必要量を見定めるようにしましょう。

糖質はできるだけ多く摂取したい

糖質はできるだけ多く摂取したい。

生命を維持することだけ考えれば、「タンパク質」と「脂質」があれば何とかなります。
しかし、速く走るためには、エネルギーに特化した栄養素である「糖質」も活用することが大切です。

糖質を多く摂取すればするほど、生み出されるエネルギーが多くなるため、出力が高まり、トレーニングの質が高まります。
また、リカバリーに回せるエネルギーにも余裕ができるため、トレーニング後のリカバリーも促してくれます。

ちなみに、実際にやってみると分かるかと思いますが、「タンパク質」や「脂質」が十分な量を確保している状態で、糖質を多く摂取するのは難しいです。
満腹中枢が刺激されて食欲が低下し、食べ過ぎないように体内でコントロールされているからです。
自分の食欲や味覚などの感覚で、摂取できるくらいの糖質の量が、自分にとって最適な塩梅だと個人的には考えています。

まとめ

今回は「ランナーに必要な三大栄養素の考え方」について説明しました。

われわれの体は「食べたもの」から出来ています。
そして、アスリートは「体」が資本です。

「医食同源」という言葉があるように「食」というものはとても重要です。

スポーツでさらなる高みを目指している人は、日々の食生活を見直してみましょう。

この記事によって「ランナーに必要な三大栄養素の考え方」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

この記事の著者

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